最近、安価なものから豪華装備の6〜800ccのミドルクラスバイクが増えてきました。今回は、このブログで取り上げてきたミドルクラスロードバイクの比較をしてみたいと思います。
目次 この記事の内容
- 国内4メーカーと海外メーカーのトレンド
- ホンダ CB650R/CBR650R
- ヤマハ MT-07/XSR700
- スズキ SV650/SV650X
- カワサキ Z650/Ninja 650
- トライアンフ Street Triple
- ホンダ VFR800F
- スズキ GSX-S750
- ホンダ NC750S
- 国内外12車種比較
国内4メーカーと海外メーカーのトレンド
リッタークラスのストファイや、ツーリングモデルは、持て余してしまうことが多いです。アウトバーンのあるドイツでも、このクラスのバイクは保険代が高く、容易に買えなくなっています。
ぶっちゃけた話、サーキットにでも行かなければ国内の公道で大型バイクの全開走行などしませんし、出来ません。そこで、安価で取り回しに苦労しない重量のミドルクラスロードバイクが丁度いいということになります。
筆者(tkd69)が1年前に乗っていたホンダ NC750Sは、ツーリングや通勤に活躍してくれたバイクでした。車検を機にトレールバイクのホンダ CRF250Lに乗り換えましたが、国内の高速を含めたツーリングするなら、積載性の高さもあって最適なバイクでした。
最近では、オフもそこそこ走られるアドベンチャーバイクも流行していますが、今回はロード向けのバイクを紹介していきます。ミドルクラスSSもトータルで扱いやすい車両ではないので、今回は外します。ターゲットになるのは、ツーリング適性も高く、街乗りにも向いているバイクということになります。
ホンダ CB650R/CBR650R
ホンダ CB/CBR650Rは、CB/CBR650Fの後継バイクとして2019年から販売開始された新型のミドルクラスバイクです。最大の特徴は、水冷DOHC直列4気筒エンジンを搭載していることです。
9〜100万円代のミドルクラス直列4気筒バイクは、スズキのGSX-S750くらいしか見当たらないくらい、稀少な存在となってしまいました。ホンダのFコンセプトに近い、Rコンセプトということで、SSのようなスポーツ性能よりも普段使いの出来るフレンドリーさのあるバイクです。
共通のフレームやエンジンのCB650RとCBR650Rですが、バーハンドルによる楽なポジション、カウルのない軽快なハンドリングが特徴のストリートファイターと、ラムエア加圧や若干きつい前傾のスポーツ寄りフルカウルと2種類用意されています。
流石にホンダらしい、味付けで共通のパーツを使っているのに、用途の違いで明確に個性が出ています。また、シフトインジケーターや、スリッパークラッチ、トルコンなど最新のバイクらしい装備も魅力的です。最高出力よりも、回す楽しさと扱いやすさを両立したエンジンは、峠やツーリングにも向いています。
ヤマハ MT-07/XSR700
パラレルツインこと、並列2気筒エンジンのヤマハのミドルクラス700ccバイクは、MT-07とXSR700の2車種があります。
2014年に販売されたMT-07は、当時64万円という破格の安さでした。並列2気筒という、部品点数の少ないエンジンで、鉄のフレームだからこそ出来た価格設定ですが、かといって安っぽいわけではありません。
ヤマハらしい造形美のある樹脂製のタンク形状に、独特の形のヘッドライト、軽快な感じのする少し跳ね上がったテール周りと、手を抜いていません。スポーツ性能をアピールする爽快感のあるDOHCエンジンと179kgの装備重量も魅力でした。
兄貴分のMT-09よりもとっつきやすい性能で、街乗りから峠、積載に工夫すればツーリングまで使える万能性を持っています。
2016年から販売されたXSR700は、MT-07をベースにレトロ風なデザインにしたカスタムベースのバイクとして人気があります。ヤマハのカスタム車として有名なSR400に似たコンセプトです。
軽快なハンドリングや、シーンを問わないオールマイティな使い方に向いていますが、こと街乗りに関しては、レトロな形状のためよく馴染むのが、XSR700です。ヤマハは、近未来的なMT-07と、少しレトロなXSR700という強力なラインナップで、ミドルクラスロードバイク市場に確固たる地位を築いています。
スズキ SV650/SV650X
スズキは、ミドルクラスのV型2気筒エンジンを搭載したSVシリーズを、1990年代後半から30年もの間(途中でグラディウスという名前になったものの)作り続けているメーカーです。
Vツインエンジンとは、シリンダーを90°にVの時に並べたエンジンのことで、並列(直列)よりもコンパクトにすることが可能です。しかし、パラツインよりも部品点数が増えるので、若干コストはかかるようになります。
しかし、スズキは良心的な価格75万円で、SV650 ABSを販売しています。国内4メーカー唯一のミドルクラスVツインエンジンをロードバイクで搭載しながらも、お買い得なのがSV650といえます。
また、カフェレーサースタイルのSV650X ABSも用意されており、セパハンにタックロールシート、ヘッドライトカウルなどが追加されていてノーマルよりも5万円高い80万円です。
最近、兄が買ったSV650 ABSですが、とても乗りやすそうでいいバイクです。Vツインは、NCに乗る前にホンダ VTRでその良さを体感しています。燃費もよくて高回転まで回り、取り回しもいいという3拍子揃ったバイクです。
カワサキ Z650/Ninja 650
パラツインの600〜800cc唯一の国内4メーカーのフルカウルモデルが、カワサキ Ninja 650です。Ninja 650のネイキッドバージョンが、Z650で共通のエンジンにフレームが使われています。
同じクラスのSSマシン、並列4気筒のNinja ZX-6Rとは異なり並列2気筒のツーリングから市街地走行までを意識したオールマイティなマシンです。Z650が80万円、Ninja650が82万円と、80万円台で購入出来ます。
アシストスリッパークラッチや、シフトインジケーターも装備され、ニンジャが193kg台、Zが187kgと軽量な車体です。東京モーターショー2019で発表された2020年型からは、外観のイメージをニンジャシリーズで共通のものになります。
フルカウルで、パラツインのコンパクトなマシンならばニンジャ 650一択です。スタイリングが気に入ったなら、ネイキッドのZ650という選択肢もあります。
トライアンフ Street Triple
出典 https://www.triumphmotorcycles.jp/
イギリスのメーカー、トライアンフのマシンは、並列3気筒のイメージが強いです。ストリートトリプルは、765ccの水冷3気筒エンジンを搭載したミドルクラスのストリートファイターです。
900ccのバイクだとヤマハのMT-09にも同じ並列3気筒のエンジンがありますが、ミドルクラスとなるとトライアンフくらいしか思いつきません。現在のMoto2マシンもトライアンフの765cc3気筒エンジンを使っていることからも、このエンジンの優秀さがよく解ります。
2気筒のコンパクトさと、4気筒の高回転まで回る特性の中間といったエンジンです。最上級モデルのストリートトリプルRSで188kgの軽量な車重と、4気筒クラスのパワーと、非常に運動性能の高いバイクとなっています。
グレードは、ストリート向けのS、中間のR Low、サーキットコース走行も視野に入れたRSという3つが用意されています。
ホンダ VFR800F
ホンダ VFR800Fは、800ccのV型4気筒という、このクラスの中で最も豪華なエンジンを搭載しています。V4エンジンは、MotoGPなどでもおなじみのエンジン形式で、直4よりもコンパクトに出来ます。V4というエンジンの性質上、低回転よりも高回転の方が滑らかに回転するエンジンになります。
ハンドリングの傾向としては、直列4気筒よりもクイックな感じになります。その反面、腰高になりやすいという欠点もあります。ぶっちゃけ、ロードバイクのミドルクラスのV4は、VFR800Fくらいしか思いつかないというのが現状です。現行のVFR800Fは、どちらかというとツアラー向けで車重も243kgと重いです。
V4ならではの高回転域の気持ち良さや、21Lもの燃料タンクによる航続距離の長さや、フルカウルによる防風性能など、長距離ツーリングに向いたバイクといえます。
スズキ GSX-S750
出典 http://www1.suzuki.co.jp/
スズキ GSX-S750は、ミドルクラス直列4気筒という、SSを除くストリート向けマシンとしては、ホンダ CB/CBR650Rと並ぶマシンです。4気筒ならではの高回転と、カン高いエクゾーストノートが楽しめられるバイクです。
車両価格が、99万円と100万円近いですが、CBR650Rと近い価格設定となっています。ぶっちゃけ、4気筒は2気筒と比較してコストのかかるエンジンです。しかし、高回転まで回した時の気持ち良さ、極低速でノッキングしないエンジン特性など、上質なフィーリングを楽しむことが出来ます。
燃費の面では2気筒勢の方が有利で、何より少ない部品点数の恩恵で安価に作られます。しかし、ストリート向けで4気筒を楽しみたい層からすると、ある程度回せられる性能のGSX-S750は、十分に選択肢に入るバイクです。
ホンダ NC750S
ホンダ NC750Sは、筆者も3年間乗っていた直列(並列)2気筒のオートバイです。最大の特徴は、ダミータンク内のメットインスペースで、21Lもの容量を誇っています。筆者の経験だとSHOEIやOGKのフルフェイスのLサイズのヘルメットが丁度入る大きさでした。
積載性の高さと、シングルカムのトルクが低回転から発揮されるエンジンと、とてもツーリングに向いたバイクです。重心が低く、ホイールベースも長いので、直進安定性が高く、ロングスクリーンなどで工夫すれば、高速道路も快適に走られます。また、燃費はこのクラス最高の高燃費で、WMTCでリッター28.3kmです。
ABSや、ETC2.0やLEDヘッドライト、グリップヒーターなどの豪華な装備が付いて76万円という価格はとても安いです。そこそこのペースで、峠を流して走るのも楽しいバイクで、車検が無ければ今でも乗っていたバイクだと思います。筆者のNCはMT車でしたが、DCT仕様もあります。
国内外12車種比較
出典 http://www1.suzuki.co.jp/
一般公道向けのミドルクラスといっても、2〜4気筒、直列(並列)とV型、SOHCとDOHCというようなエンジン形式だけでも多彩なオートバイの種類があります。
そこで、スペックや乗り味、燃費、積載性などで、ストリート、峠、ツーリング、サーキット、燃費、価格など、どのシュチュエーションに向いたバイクで経済性も加味して比較しています。
5段階評価で、1〜5の点数を付けます。用途はそれぞれ、上記の4つです。燃費と価格は、各バイクの経済性を評価します。
CB650R | CBR650R | GSX-R750S | |
ストリート | 4 | 3 | 4 |
峠 | 5 | 5 | 5 |
ツーリング | 4 | 4 | 4 |
サーキット | 3 | 4 | 4 |
燃費 | 3 | 3 | 2 |
価格 | 3 | 3 | 3 |
合計 | 22 | 22 | 22 |
MT-07 | XSR700 | ストリート・トリプルRS | |
ストリート | 4 | 5 | 4 |
峠 | 4 | 4 | 5 |
ツーリング | 3 | 3 | 3 |
サーキット | 4 | 4 | 5 |
燃費 | 3 | 3 | 2 |
価格 | 4 | 3 | 2 |
合計 | 22 | 22 | 22 |
SV650 | SV650X | Ninja650 | |
ストリート | 4 | 4 | 3 |
峠 | 4 | 4 | 4 |
ツーリング | 4 | 4 | 4 |
サーキット | 3 | 3 | 3 |
燃費 | 4 | 4 | 4 |
価格 | 4 | 4 | 4 |
合計 | 23 | 23 | 22 |
Z650 | VFR800F | NC750S | |
ストリート | 4 | 3 | 4 |
峠 | 4 | 5 | 3 |
ツーリング | 3 | 5 | 5 |
サーキット | 3 | 4 | 1 |
燃費 | 4 | 2 | 5 |
価格 | 4 | 2 | 5 |
合計 | 22 | 21 | 23 |
今回は経済性を重視しているので、2気筒勢に有利な採点となってしまいました。高速道路でのパワーや、高回転エンジンの爽快感なども加点すると、3〜4気筒勢に有利な判定となったでしょう。
しかし、価格や燃費などの部分で、2気筒勢は圧倒的です。特にNC750Sは、ETC2.0やグリップヒーターが標準装備されていて、70万円台というバーゲン価格です。
対照的に、4気筒のバイクよりも、トライアンフのストリートトリプルRSの動力性能の高さは目立ちました。GSX-S750、VFR800Fは実用域での性能を考慮したとはいえ、3気筒のトライアンフに出力面で凌駕されています。
問題は、このクラスのオートバイの役割です。リッターオーバーや、900ccのバイクよりも取り回しに優れ、過剰なパワーのない6〜800ccのミドルクラスバイクは、丁度いいパワーを楽しめられるパッケージとなっています。
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