MotoGP 2019 第17戦 オーストラリアGPは、オーストラリア第2の都市、メルボルンに近いフィリップ・アイランド・サーキットで10月27日に開催されました。レースウィーク通して好調だったのは、ヤマハワークスのマーヴェリック・ビニャーレス選手で、チャンピオン、マルク・マルケス選手との直接対決に期待していました。
目次 この記事の内容
- フィリップ・アイランド特有の風
- ビニャーレスのチャレンジ
- ザルコ代役の結果
フィリップ・アイランド特有の風
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ 予選PPのマーヴェリック・ビニャーレス選手
ビクトリア州のフィリップ島にある、フィリップ・アイランドは海岸にとても近いため、カモメが飛んでいたり、風が強いことで有名です。中高速コーナーが多く、4.445kmのコースは、アベレージスピードが高いです。
FP1からヤマハ勢が好調で、意外に思っていたのですが、エンジン回転数の制限について、G+で解説されていた宮城さんの話を聞いて得心しました。コンセッション資格による優遇を受けられないほど前年度の成績がいい場合、使用できるエンジンは年間7基です。
このため、シーズン前半では回転数にある程度のリミッターをかけ、エンジンに過剰な負荷がかからないようにして、エンジンブローを防いでいました。しかし、シーズン残り3戦という状況なら、エンジンの残り数を気にすることなく、回転数は限界まで引き上げられるということです。
しかし、インディペンデントチームである、ペトロナス・ヤマハの方のエンジン供給についてはファクトリーよりも数が少ないため、ファビオ・クワッタハッホ選手のマシンに白煙が見えるとも、宮城さんが言っていました。
つまりヤマハ勢は、回転数を気にすることなく回せる状況になっているので、今シーズン苦しめられたパワーでもなんとか戦えるようになったということです。実際に、オーストラリアGPのストレートスピードの最高速で、一番速かったのは、マルケスのホンダ RC213Vで時速341kmでした。
ヤマハのYZR-M1は、334km計測していたので、7km落ちといったところでしょうか。その一方で元気がないのは、ドゥカティのデスモセディチです。ヤマハの直4よりもパワーがあるV4エンジンのはずなのに、最高速はホンダのマルケスよりも遅かったです。
また、中高速寄りののサーキットでもドゥカティよりも、ヤマハの方が好調なのは、デスモセディチのコーナリングスピードが遅いことが顕著にあらわれているからです。
しかも、終盤で好調なヤマハに対して、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手や、ダニーロ・ペトルッチ選手が、前半で稼いだアドバンテージを徐々に消費している状況だと思いました。
そして、土曜日のFP4でKTMテック3のミゲル・オリべイラ選手が1コーナーの進入で強風な煽られコースアウトして激しくクラッシュしました。全長900メートルのストレートからのフルブレーキングでの進入なので、250kmは超えていたでしょう。マシンは、激しく叩きつけられ、宙に何度も舞いました。
オリベイラは、手に負傷しましたが、幸いにして骨折などの重症ではなかったようです。このため、土曜日の予選は中止になり決勝の朝に行うことになりました。この結果G+で予選の放送はなかったので、予選が見られませんでした(涙)。安全が第一なので仕方ないことですが・・・。
予選は結局、ポール・ポジションにビニャーレス、2位にクワッタハッホ、3位にマルケスといった順位でした。クワッタハッホは、FP1での激しい転倒を懸念されていましたが、予選は見事に2位でした。
ビニャーレスのチャレンジ
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ ビニャーレスとマルケス
決勝は、懸念されていた雨も降らず、風も土曜日よりもきつくないようでした。注目すべきは、ビニャーレスのタイヤチョイスで、フロント、リア共にソフトタイヤを選択していました。
マルケスは、フロントにハード、リアにソフトを選択していました。おそらく、ビニャーレスは、前半で燃料がフルタンクの状態でペースが上がらないことが多いので、賭けに出たようにも思えました。
レース開始直後、GP参戦400戦目となるヤマハのバレンティーノ・ロッシ選手が、2列目から飛び出し、ホールショットを決めました。そして、いきなりマシンコントロールを失ったペトルッチがハイサイドを起こし、アウト側を走っていたクワッタハッホに体がぶつかって、クワッタハッホも転倒してしまいました。
4周目からジリジリとロッシが後退していき、マルケスとビニャーレスが追い上げてきました。10周目には、ビニャーレスがトップになりました。その後3位のLCRホンダのカル・クラッチロー選手が徐々に引き離されて、レースはビニャーレスとマルケスの一騎討ちになりました。
ぶっちゃけた話、レース終盤のビニャーレスは速いので期待していたのですが、フロントもソフトタイヤだったのが影響したのか、ラストラップのストレートでマルケスに抜かれ、10コーナーで転倒してしまいました。
ビニャーレスは最後にミスをしたとはいえ、マルケスに挑む心意気は良かったです。クラッチローは久々アルゼンチンGP以来の2位表彰台で、3位にはドゥカティ・プラマック・レーシングの地元オーストラリアのジャック・ミラー選手がそれぞれ入りました。
ザルコ代役の結果
出典 https://www.honda.co.jp/ ホンダの1.2フィニッシュは2019年シーズン初
右肩の手術によって、日本GPで2019年のMotoGPを終了した中上貴晶選手の代役として、オーストラリアから残り3戦にLCRホンダで参戦するヨハン・ザルコ選手ですが、シーズン終盤での天候の安定しないコースに苦戦していました。
ザルコは、予選16位、決勝13位とそこそこの成績で終わりました。フィリップ・アイランドでのレースは、マシンに慣れていないこともあるので、次のレースに期待しています。
ザルコの存在がクラッチローに刺激を与えていることは間違いないと思います。ホンダは、2019年シーズン初の1.2フィニッシュでようやく手応えを感じているのではないでしょうか?
ドヴィは7位に入って、ランキング2位を確定しました!ロッシは、結局8位といいところがありませんでした。注目すべきはチームポイントで、マルケスのレプソルホンダが、ドゥカティワークスに1ポイントと迫ってきたことです。ほとんどマルケス一人でポイントを獲得していて、たった1ポイント差になるとは驚きです!
結果としては、ドゥカティがヤマハよりも好成績を残したものの、レースウィークトータルでは、ヤマハの方が有利な印象を受けました。Moto3でも優勝したロレンツォ・ダッラ・ポルタがチャンピオンを確定し、残りはMoto2のみとなりました。
そして、タイGPでチャンピオンを獲得したマルケスが、年間375ポイントという驚異的なポイントでリードし続けていて、夢の400ポイントに近づいています。第18戦マレーシアGPは、11月3日です。
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