ようやく、『仮面ライダーアマゾンズ』をシーズン1〜劇場版まで視聴しました。大人向けライダーとして、アマゾンプライムビデオで配信されていた本作ですが、ただの『仮面ライダーアマゾン』のリブートで終わらない要素がありました。
目次 この記事の内容
- 原型は異色の昭和ライダー
- 大人向けになったのは配信のため?
- 2人のアマゾンの生き様を描いたシーズン1
- ジュブナイル要素のあるシーズン2
- 劇場版は賛否両論
- オススメはシーズン1
原型は異色の昭和ライダー
出典 https://bb.watch.impress.co.jp/ 仮面ライダーアマゾン(6号ライダー)
「アーマーゾーン!」という掛け声(ディレイが印象的)で変身する仮面ライダーといえば、仮面ライダーシリーズ第4作、1974年放送の『仮面ライダーアマゾン』です。筆者が生まれる前に放送された作品なので、当然ながらリアルタイムで見ていません。
筆者が、放送中に最初に見た仮面ライダーといえば、1979年放送の『仮面ライダー(スカイライダー)』からで、一番好きな仮面ライダー作品は、『仮面ライダーBLACK』です。
僕が小学生のころには、夏休みに初代『仮面ライダー』が再放送されていたり、まだ特撮に元気のあった時代でした。仮面ライダーアマゾンは、最初に見たときにはあまりカッコ良くありませんでした。
半裸の主人公が、変身した姿はヤモリの悪役怪人のような姿で、技も噛み付きや、大切断(チョップ技の一種)など、野生的で荒々しいライダーでした。アマゾンのバイクもジャングラー(スズキTM250がベース)で、初代のサイクロン号、V3のハリケーンなどと比較すると死ぬ程ダサいデザインに見えました。
ただ、インパクトは強烈で、当時の近所の子供達はなぜか「アーマーゾーン!」の掛け声だけやたらと覚えていて、連呼していました。当然僕も、一緒になって叫んでいたら、女子に白い目で見られてしまいました(涙)。
実は、環境問題を先取りしていたジャングラーは、永久機関で動いているので、排ガスも出ないエコなバイクだったのです(そのわりにはチャンバーから煙が出ていたような)。
しかし僕は、バイクアクションがド派手な次作の『仮面ライダーストロンガー』の方がカッコいいデザインだったので、アマゾンよりストロンガー派でした(大汗)。
大人向けになったのは配信のため?
出典 https://www.amazon.co.jp/ 仮面ライダーアマゾンオメガ
仮面ライダーシリーズは、昭和だろうが平成だろうが、子供向け番組です。漫画家の石ノ森章太郎が原作で、東映が制作している特撮番組なのです。
ところが、昭和ライダー最後の『仮面ライダーBLACK RX』の放送終了後、なかなかテレビ向けのライダーが作られなくなり、雨宮慶太監督の劇場版『仮面ライダーZO』や、OVAの『真・仮面ライダー序章』といった大人向けのリアルな仮面ライダーが制作されるようになりました。
その後、2000年に平成ライダー第1作の『仮面ライダークウガ』から始まる、テレビの平成ライダーシリーズが全盛期を迎えるのですが、一度リアルになった仮面ライダーの魅力にとり憑かれた筆者は、もう一度大人向けのハードな作品が見たかったのです。
そんなとき、アマゾンプライム・ビデオの目玉作品の一つとして、『仮面ライダーアマゾンズ』というタイトルで、新たな仮面ライダーシリーズが2016年に配信開始されたのです。
アマゾンのリメイクかと思いきや、全然違う話でした(大汗)。アマゾンの戦闘スタイルや、デザインはある程度踏襲していますが、思った以上にハードな設定で、暴力描写も多く、大人向けの脚本となっていました。
これは、Amazon・プライムビデオの視聴者層が3〜40代の人が多いためらしいです。当然、アマゾンとAmazonはかかっております(笑)。シーズン1に関しては、BSで放送されたものを視聴しました。これは、当時アマプラに加入していなかったためです。
2人のアマゾンの生き樣を描いたシーズン1
出典 https://www.amazon.co.jp/ 激しく戦うアルファとオメガ
「アマゾン!」の掛け声で変身するのはお約束で、変身後の姿もアマゾンライダー(仮面ライダー6号)を彷彿させるデザインとベルトです。しかし、内容は全然違います。
まず、仮面ライダーシリーズで重要な悪の組織がいません(笑)。大手製薬会社が作ったアマゾン細胞をベースにした人工生命体であるアマゾンを、2年前の事件で4,000体、野に放ってしまい、そのアマゾンを狩る話です。
アマゾンは、人を捕食する性質を持っており、人を襲います。アマゾンレジスターという、人のタンパク質を欲しがるアマゾンの欲求を抑える腕輪によって理性を保っているのですが、食人衝動を完全に封じ込められることは出来ず、大勢の人々がアマゾンの犠牲になってきました。
野座間製薬によって雇われた駆除班が、アマゾン狩りをしているというわけです。そして、駆除班とは別行動でアマゾンを狩っているのが、仮面ライダーアマゾンアルファこと鷹山仁です。
そして、もう一人の仮面ライダーアマゾンオメガは、野座間製薬の重役である水澤令華の息子の水澤悠です。水澤悠は、駆除班と行動を共にして、アマゾンを狩っていきます。
アマゾンっぽいデザインがアルファで、暗い赤を基調にしたカラーリング、緑色がオメガで、デザインは洗練されたものになっています。また、ベルト(ドライバー)はXライダーのように武器も内蔵しており、変身の時には左側のグリップを捻って決まり文句(アマゾン!)を叫びます。
このドライバーを装着して変身すると、理性をある程度保ったまま、武器を使ったり、必殺技を使うことが出来ます。ただ、エネルギー消費は莫大で、悠も鷹山もやたらと食べるシーンが多かったです。
出典 http://www.superhero-year.com/amazons/ ジャングレイダー
駆除班に参加しているオメガこと水澤悠(みずさわはるか)には、専用マシンジャングレイダーが与えられています。ジャングラーをイメージしてデザインし直したもので、永久機関は搭載されていません(笑)。実は、『仮面ライダーアギト』に登場した仮面ライダーギルスのギルスレイダーの流用で、ホンダXR250がベースになっています。
鷹山ことアルファは、変身前にハーレー・FLHRCロードキングクラシックに乗っています。泉七羽のヒモなのになんで高級車乗ってるんだろうって思いました。この七羽さんの言うことしか鷹山は聞きません(笑)。一方で、悠には義理の妹、水澤美月がいます。基本的にこの2人が主要なヒロインになります。
はっきり言って、この野座間製薬が悪の根源です。鷹山は、元研究者で自分が生み出してしまったアマゾンに対して責任を取るために、アマゾン細胞を移植して、アマゾンアルファとなり、アマゾンを狩っています。よって、鷹山はアマゾンを全滅させるというのが、目的となっています。
一方で悠は、義理の母水澤令華の遺伝子によって人工的に作られた存在です。アマゾン細胞に人間の遺伝子を投入して培養するという狂気の研究によって生まれました。よって見た目は20歳くらいですが、実際には2歳です。
悠は、徐々に無慈悲に殺されていくアマゾンに同情していくようになっていきます。駆除班のメンバーで、モグラアマゾンに変身するマモルが、駆除班の仲間である三崎一也の左腕を食べてしまった悲劇もありました。
決定的だったのが、トラロックと呼ばれるアマゾンに対する有害な物質を放つドローン兵器により、無慈悲に殺されていくアマゾンを見たときです。悠は、不必要になったからとアマゾン達を無慈悲に殺すやり方に反発し、駆除班を抜け、マモルを助けます。
そして、アマゾンを狩ろうとする鷹山と、守ろうとする悠は対決します。悠を演じた藤田富と鷹山を演じた谷口賢志の鬼気迫る「アーマーゾーン!」の掛け声で変身するシーンはクライマックスにふさわしいものでした!
激しい死闘の末、アマゾンオメガがアマゾンアルファに勝利します。そして、戻るように諭す駆除班メンバーに対して、悠とマモルは、生き残ったアマゾンを連れて去っていきます。
https://www.amazon.co.jp/ シーズン1のクライマックス
全13話で語られたのは、勝手に作った生命体をいらないからといって身勝手に廃棄しようとする、人の醜さでした。自分で責任を取るために、手を汚してアマゾンを狩る鷹山の方がなんぼかマシです。
ぶっちゃけ、シーズン1ではっきりしたのは、野座間製薬と、その子会社でPMC(民間軍事会社)のノザマペストンサービスのやり方が、ヒトのエゴそのものであることでした。
このシーズン1は、久々の大人向け特撮(近年では『牙狼』が有名)であり、しっかりとした設定と骨太のストーリーで楽しませてくれた佳作です。脚本はプロデューサーである白倉伸一郎によって指名された、小林靖子が担当し、既存のライダーシリーズとは異なるストーリーを書きました。
監督は、平成ライダーシリーズの演出で知られる石田秀範、スーパー戦隊シリーズや、仮面ライダーシリーズで実績のある田崎竜太、ジャパンアクションエンタープライズの金田治などが、それぞれ担当しています。
ジュブナイル要素のあるシーズン2
出典 https://www.amazon.co.jp/ 新たなアマゾン ネオ
『仮面ライダーアマゾンズ』のシーズン2は、2017年4月から配信開始されました。筆者は、シーズン2のテレビ放送を待っていたのですが、2年以上経過してもテレビでは放送しないので、2019年の8月に遂にアマプラに加入してしまいました。
アマゾン・プライムは、月額500円で最新のテレビアニメや、映画、特撮などが見放題なので重宝しています。最近は、アニメや特撮番組などをアマプラで視聴していて、一番最初に仮面ライダーアマゾンズのシーズン2を見ました。
シーズン2ではシーズン1の5年後から話が始まります。仮面ライダーアマゾンネオこと、千翼(ちひろ)が主人公となり、4Cと呼ばれる新たなアマゾンを狩る組織で戦います。千翼にも、専用バイクネオジャングレイダー(XR250がベース車)があり、相棒として活躍します。
今までのアマゾンと違うところは、ベルトが進化してネオアマゾンズドライバーとなり、インジェクター内部の薬液の効果により、アマゾン細胞を活性化させる効果があります。ネオのカラーはブルーであり、メタリックな外装により、従来の仮面ライダーアマゾンのイメージよりも平成ライダーっぽいです。
そして、同じ4Cに所属するイユことカラスアマゾンは、父親が新型アマゾン細胞によってアマゾンに変異し、殺された少女がベースとなっています。千翼は惚れたイユのために、4Cでアマゾンを狩り続けます。
ところが、既に死者として扱われているイユは、人間らしい感情が一切ありません。千翼がどんなに尽くしても大抵はスルーされます(涙)。おまけに、食人衝動に駆られたアマゾンネオに対して、カラスアマゾンは容赦なく攻撃を仕掛けるという場面もありました。しかし、千翼は、驚異的な回復力で復活します。
一方で、かつての駆除班メンバーは、独自に行動を開始していました。リーダーの志藤真は、クラブを経営していて、密かにメンバーを招集していました。そのスポンサーになっていたのが、かつての野座間製薬の重役水澤令華でした。
一時期、千翼と行動を共にしていた長瀬裕樹は、仲間の仇を討つため、駆除班メンバーに同行します。そこで見たのは、人に感染する新型アマゾン細胞を、水道に混入するため画策するマモルとアマゾンの面々の姿でした。
駆除班メンバーの説得をマモルは聞き入れません。一方で、水澤悠ことアマゾンオメガも事件を追っていました。そして4Cのメンバーとなっていた美月も悠と会います。結局、悠によって新型アマゾン細胞(溶原性細胞)の感染源である腐乱したアマゾンの腕は水脈から遠ざけられます。
そして、遂に鷹山仁が登場し、オリジナルと呼ばれる新型アマゾン細胞の持ち主である、アマゾンネオこと、千翼を狙うのでした。しかも、千翼は鷹山と七羽の息子であり、七羽を捕食した可能性がありました。
鷹山の息子であり、新型細胞のオリジナルである千翼は4Cによって凍結処分されることとなりました。しかし、その際にオリジナルの能力が覚醒し、4Cの施設内部で千翼によって虐殺が行われます。千翼は逃亡し、イユと4C、父親である鷹山に命を狙われるのです。
そして、鷹山に殺されそうになった千翼を救ったのは、記憶と共に感情が戻りつつあったイユでした。2人は逃亡します。
仮面ライダーアマゾンニューオメガ
その一方で駆除班と合流した悠は、義理の母水澤令華に提供された新たなネオアマゾンドライバーを受け取ります。アマゾンニューオメガとして、新たな姿となります。機械的なパーツの露出したデザインとなりますが、ネオアマゾンドライバーの効果により、パワーアップしています。
というよりも、前作の主人公が登場した時点で嫌な予感がしていました。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のキラ・ヤマトが、シン・アスカよりも主役として目立つようになったことと同じ現象が起こるのではないかと。ぶっちゃけ、シーズン2の一番の問題点だったと思います。
こうなってくると、アマゾンニューオメガにも見せ場を作る必要が出てきます。そして、七羽はクラゲアマゾンとして生き残っていることが発覚し、オリジナルの能力を持っていることが解ります。駆除班と鷹山は共闘してクラゲアマゾンを撃破します。
ネオアマゾンレジスター(新しい腕輪)から投与される破壊プログラムの薬剤により、イユの細胞は徐々に死滅していきました。千翼は、イユを救うため、4C本部に乗り込みますが、アマゾンニューオメガと4C部隊によって行く手を阻まれます。
2人は、ふれあい動物パークの跡地で過ごしますが、イユは死んでしまいます。そこに、鷹山と悠が現れ千翼と戦闘になります。ここでの戦闘シーンは描写されていません。
動物パークの一室には、悠とイユのネオアマゾンレジスターと七羽のストールが置かれており、それが父親と友人としての埋葬だったのだということが解ります。
最後のシーンは、叙情的な演出としてはよかったのですが、特撮として考えると、カタルシスのないラストだとも言えます。つまり、勧善懲悪でない仮面ライダーアマゾンズの結末としてはいい出来なのですが、特撮シリーズとしてラストバトルはもう少し盛り上がりが欲しいところでした。
また、前作の主役である悠と鷹山を登場させると、千翼とイユという今作におけるヒーローとヒロインよりもクローズアップされることになってしまいます。
それでも、アマゾンズのテーマである生き物としてのアマゾンの悲哀を突き詰めた作品になっているので、十分に大人の鑑賞に耐えうる作品になっています。ちょっとジュブナイル小説っぽい展開でしたが・・・。
劇場版は賛否両論
出典 http://www.amazons.jp/ 劇場版のラストバトル
そして、『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』が2018年5月に劇場公開されました。筆者は、シーズン2をアマプラで視聴後、同じくアマプラでこの作品を見ました。
アマプラでは、色々な感想があり、その中には共感できるものがいくつかありました。特に、シーズン2でのオメガのパワーアップとはなんだったのか?という感じのラストバトルでしたし、散々戦ってきた悠と鷹山の決着は、こんな形で終わり?と思ったのも事実です。
ある養護施設の園長が、アマゾンネオアルファという、黒と銀の新しいアマゾンに変身するのですが、異様に強くてニューオメガを圧倒するからです。しかも、その後、拘束を解かれたアマゾンアルファこと鷹山に敗北するのですが、ニューオメガの方がアルファより強いんじゃなかったっけ?という疑問がありました。
スペック上強いはずのニューオメガが敗北した相手を、散々オメガに負け続けたアルファが倒すっておかしくないですか?しかも、ドライバーを破壊された悠は、前のドライバーで元のオメガに戻って鷹山と決着を付けます。
一応、2年後ということになっているので、シーズン2で負傷していた鷹山の目が治っていたり、養殖のために養護施設に偽装していたアマゾン牧場など、色々な変化がありました。また駆除班メンバーが、悠と美月を救うために動いています。
出典 http://www.amazons.jp/ 劇場版での駆除班メンバー
しかし、食糧自給率の低下のためにアマゾンを養殖って、何考えているんでしょうか?権力者がアマゾンの少年少女を精肉して食べるなんて、かなり無理やりな設定だったと思います。
悠は養殖されていた少年少女を守るために戦い、鷹山はアマゾンを狩る目的を遂行しようとします。最終的に、オメガとアルファで決着をつけるのですが、予想通りオメガが勝利し、鷹山は死にます。
そして、美月は養護施設の少年少女と生活することになり、ジャングレイダーに乗って悠は去っていきます。今回、肩透かしだったのは、最終決戦がいつもの戦いだったことです。
というのも、アマゾンズ配信シリーズで何回も戦っている相手と決着をつけるのではなく、強大な敵や組織を登場させ、アルファとオメガが共闘して欲しかったからです。鷹山は、悠に一目置いていたし、悠も鷹山を認めていたところがありました。
最後の劇場版だからこそ、両者が共闘して、アマゾンを抹殺することで保身に走ろうとしている存在と戦って欲しかったです。勧善懲悪にならないところが、仮面ライダーアマゾンズのいいところですが・・・。
オススメはシーズン1
解りやすい解説動画(東映公式)
正直、微妙だった劇場版でしたが、長かった『仮面ライダーアマゾンズ』シリーズを完結したところは評価できます。劇場で見ていないので、あまり文句が言えません(大汗)。
シーズン1が、衝撃的な作品だったため、シーズン2や劇場版に過度な期待をしてしまっていたということもあります。しかし、やはりオススメはシーズン1で、次点でシーズン2、そこまで見たなら劇場版もぜひ見て欲しい作品です。最後は、決まり文句で叫びたいと思います。「アーマーゾーン!」
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