伝説巨神イデオン 発動編:最終回は大傑作の劇場版

『伝説巨神イデオン』の解説の後編は、発動編と題してお送りします。前回に引き続きテレビシリーズの終盤と、劇場版の接触編、発動編について書いていきます。また、イデオンに影響を受けた作品についても触れていきます。

目次 この記事の内容

  • テレビ終盤のストーリー解説
  • 逆境 その4:打ち切りエンドからの映画化
  • 接触編 A CONTACTは失敗作?
  • 発動編 Be INVOKEDは大傑作!
  • イデオンに影響を受けた作品

テレビ終盤のストーリー解説

出典 http://www.ideon.jp/ 画像はアイキャッチ画像を含めて公式ページより

ソロ星でイデオンと共に発掘されたソロシップ

ソロシップは地球圏内に入り、バッフクランの脅威からようやく解放されると思っていました。しかし、宇宙の逃亡者としての運命は、まだまだ続くのでした。地球の人々は、植民星の振りをしてバッフクランと正面から戦うことを拒否しました。

しかも、月面にあるスーパーコンピューター、グロリアを使う許可も降りなかったのです。シェリルはバッフクランが月面で戦闘をしている隙に、イデについてのデータをグロリアで調査しました。すると確実に無限大のエネルギーが存在することが解ったのです。

しかし、イデの解明をする寸前に地球連合軍の兵士に邪魔されてしまい、協力してくれた科学アカデミーのキラニン・コルボックも銃で撃たれて死亡してしまうのです。一方で、ダラムの下で働いていたギジェも、月面の戦闘で見捨てられ、ソロシップに密航し、イデの発現を確かめようとします。

最終的にソロシップのクルーになりBメカパイロットとなるギジェ・ザラル

しかし、地球上でイデオンに破れたダラムと、コスモの一騎打ちの際に、ダラムのスーツに核爆弾が仕込まれていたので、ダラムの頭だけをギジェがピンポイントに狙撃します。これにより、ギジェが密航していたことがクルーに知られてしまいますが、ソロシップの人々はギジェを受け入れます。

そして、シェリルとギジェは惹かれ合うようになり、ギジェはソロシップのクルーとして行動するようになるのです。そして、ルクク・キルの艦隊との土星との戦闘で、Bメカのパイロット、モエラが重機動メカ、アディゴの攻撃に焼かれながらも、イデオンガンを発射し、土星のリングごと艦隊を壊滅させるのです。

重機動メカ アディゴ 機動性の高さと強力な加粒子砲を持つ

モエラの後任は、ギジェでBメカ魔のコックピットに座ることになります(大汗)。地球から見捨てられ、バッフクランからも逃れようとするソロシップのクルー達の運命は、更に過酷になっていきます。

イデオンガンに加えて、イデオンソードという強力な力を発現していくイデオンですが、地球連合軍のマーシャル・フランクリンとバッフクランのハンニバル・ゲンが組んでイデオンとソロシップに攻撃を仕掛けてきます。

実は、地球にもバッフクランの母星と同じく無数の流星が落ちていて、それはソロシップから発生しているようでした。無限力イデが、ソロ星を挟んで同じ距離にある2つの文明の源を審判しているようにも見えるのです。

筆者が投稿した、この記事の動画バージョンです。

マーシャルとハンニバルの準高速ミサイルによる攻撃を、イデオンソードで凌ぎきり、イデオンとソロシップは強大な力を誇示します。ソロシップのクルーは、イデを制御できることが出来ないと判断し、ソロシップとイデオンを放棄しようとします。

しかし、地球連合軍はソロシップとイデオンを奪還しようとして、コスモ達は結局ソロシップとイデオンに乗り込むのです。そして、補給のため立ち寄った植民星のアジアンでは、裏切りによりシェリルの妹リンが撃たれて死亡してしまうのです。

イデの力を使ったレーダーを開発し、巨大植物ステッキン・スターに隠れたソロシップに、バッフクランは攻撃を仕掛けてきます。Cメカを救うために、ギジェはBメカを敵に体当たりさせます。

そのため、バランスを崩し巨大植物の粘液に捕まり身動きがとれなくなったところを撃たれ、ギジェは死にます。ギジェの意識が遠のく中で、イデオンはイデの意志で合体し、ステッキン・スターにイデオンソードを打ち込み、惑星を両断しアディゴを全滅させます(発動編のキッチンの死から続くオープニング部分)。

シェリルは、妹とギジェを失い、ますます正気を失っていきます。カララはベスの子供を身ごもり、ソロシップの機関士であるイラ・ジョリバとイデの力によるテレポーテーションで、バッフクランの宇宙軍の旗艦であるバイラル・ジンのエレベーターに転送されてしまいます。

バッフクラン宇宙軍総司令 ドバ・アジバ カララとハルルの父親

イデは、明らかに意識を持って、これらの出来事を仕掛けています。イデオナイトという、イデオンとソロシップを構成している装甲素材が、人の持つ意識を集めて、無限の力に変換しています。イデは、第6文明人の膨大な意識を取り込み、第6文明人はそのために滅んだのです。

数十億の第六文明人の意識を取り込んで無限エネルギーに変換したのが、バッフクランの伝説として残っているイデの正体だと推測されます。イデが生き残るためには、意識のある生命体と共にあらねばなりません。

しかし、イデが再び目覚めたときに争いを止めることの出来ない人類を見続けて、バッフ・クランの伝説にある良き力の発現をすることが出来なかったのでした。イデは、おそらくここでカララを使者にして、2つの文明の戦争を収束させようとしたのではないでしょうか?

バッフ・クランのズオウ大帝は、階級社会を徹底することで社会を管理していました。ドバ・アジバは、宇宙艦隊総司令として、イデオンとソロシップを包囲殲滅する作戦に出たのです。

ここで、カララはドバと出会い、イデの使者として無益な争いを止めるように説得します。地球人と分かり合えないと諭す父に対して、カララはベスとの間に子供ができたと話すのです。ドバは激昂し、カララにビームソードで切りつけます。咄嗟に庇ったジョリバは背中を切られ、カララは工具用のレーザー発振器を脅しに使って脱出します。

救出にきたソロシップと、イデオンの前でカララとジョリバの乗ったランチが撃たれます。この時、コスモがドバに向かって叫ぶのです。

「なぜだ!なぜ・・・す!なぜそっとしておかない。カララさんの平和主義がイデの発動を止める鍵だったのかもしれないんだぞ!貴様達が(イデが全てを滅ぼさないと)・・・、それを保証できるのか貴様達が!」と。

そのコスモの声はイデの力によって、ドバに届きます。しかし、宇宙服のカララとジョリバの2人は、イデのバリヤー(カララの赤ん坊を中心にしたもの)によって守られていたのです。コスモはイデオンでカララとジョリバを救出し、ソロシップに帰投します。

ソロシップは、デス・ドライブでバイラル・ジンから逃れます。ここで、ドバは全軍に攻撃命令を出すのです。テレビアニメでは、この39話でナレーションが入り、ここでイデが発動して敵味方が全滅して終わります。要は打ち切りエンドだったのです。

逆境その4:打ち切りエンドからの映画化

『伝説巨神イデオン』が全43話の予定から39話で打ち切られた理由は、複数ありました。まず、話の内容が複雑(そこがいいんだけど)で、視聴率が低迷したことが一つ。もう一つは、幼児や低学年向けの玩具展開したトミーのおもちゃが大赤字だったからです。

しかし、これはトミー側にも問題があると思います。イデオンを見て誰が幼児向けだと思うでしょうか?アニメ雑誌(OUTやアニメージュ)などでもロボットアニメを超えた高度な内容にすると公言していたのに、トミーは何をやっていたのでしょうか(アホなのか)?

劇場版の公開(1982年)以降のイデオンのアオシマのプラモデルは、そこそこ売り上げていて、戦略さえ正しければ、黒字にできたのではないでしょうか?最初からターゲットを中学生以上にしておけば良かったのです。

しかし、当時はまだガンダムが異質なくらい、ロボットアニメのスポンサーは子供向けという観点が普通でした。『宇宙戦艦ヤマト』が先鞭を付けたティーンエイジャー向けのアニメというジャンルは、ガンダム放送終了時の1980年では一般的ではなかったのです。

しかし、ガンダムの劇場版が公開された1981年以降だと、情勢が変わってきていました。劇場公開第1作『機動戦士ガンダム』は、9億円以上の配給収入をもたらしました。

これにより、ガンダムの劇場版は3部作として公開されるようになり、名作である1981年7月の『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』や1982年の3月に公開の『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』が多くのファンに新しいアニメの時代が到来したことを予感させたのです。


当然ながら、このまま打ち切られたままでイデオンを終わらせたくないスタッフによって、劇場版が制作されることとなりました。公開時期は1982年7月でした。このため、劇場版ガンダムと同じスタジオで制作されたということです。

というよりも、富野由悠季(喜幸から1982年に改名)は1982年2月から放送の、『戦闘メカ ザブングル』の監督もやっています。どんだけ仕事してんだよ!って思いました。

そして、映画のタイトルは、『THE IDEON 接触編』、『THE IDEON 発動編』となることに決まりました。接触編の1時間30分で、テレビシリーズの大半をまとめ、発動編は放送する予定だった残りの4話を劇場版にふさわしい作画で、作り直したものです。

接触編 A CONTACTは失敗作?

『接触編 A CONTACT』は、3時間にも及ぶ上映時間の半分の章で、テレビシリーズのイデオンをまとめたものです。内容は、1〜32話をまとめたもので、1時間30分では無理がありました(大汗)。

冒頭部分は、テレビアニメの最初の数回で、ここで30分くらい使ってしまい、残りの1時間でハルルとのニアミス、月面でのグロリア使用、ギジェの密航、モエラの死を盛り込んだ形です。他の重要なエピソードは、丸々カットされていました(涙)。

とりあえず、テレビシリーズを見たことがない人向けに、話を再構成してダイジェストで説明しましたという感じの映画になってしまったのです。もちろん、筆者も劇場ではなくビデオで接触編を見たのですが、最後のモエラの死のシーンが、迫力あっただけに勿体無い総集編だと思いました。

劇場版ガンダム三部作みたいに、2時間10分以上で3本の映画が作られたら違っていたのかもしれません。それでも、スタッフや富野監督はなんとかしようと悪戦苦闘しています。イデオン見る時は、テレビの39話見てから発動編を鑑賞することをオススメしています。結局接触編もセットで見てしまいますが・・・。

発動編 Be INVOKEDは大傑作!

映画の興行的には大失敗で、イデオン全話視聴していないと意味のわからない作品ですが、『発動編 Be INVOKED』は大傑作です!筆者がどれくらいこの作品が好きだと言われれば、某ライブハウスでのライブの打ち上げ中に、どの映画が好きかと尋ねられて、迷わずイデオン発動編と答えるくらいです(周りからはドン引きされましたが)。

しかしながら、客観的に考えると、この作品は失敗です。テレビシリーズ全話を見ないと分からない内容であったり、最終回を劇場版でやるという悪しき先例を作ってしまったことについては、言い訳出来ないと思います。

冒頭は、キッチンの死(テレビ本編とは異なり爆撃で体が・・・・・)から始まり、次にテレビ終盤でのギジェの死をダイジェストでやって、シェリルが完全に壊れてしまいます。

そして、テレビの最終話での親子の対立があり、ソロシップがカララとジョリバを救出し、バイラル・ジンの空域からDSドライブで脱出します。そして、イデの力を使ったソロシップとイデオンのレーダーに、赤い光点が映し出されるようになります。

ここからは、バッフクランも出し惜しみすることなく戦力を投入してきます。画面を埋め尽くすほどの重機動メカや戦艦での攻撃だけでなく、超新星爆発を利用したガンド・ロワという強大なビーム兵器なども用意されていたのです。

ソロシップのクルーが休息出来たのは、空域を離脱したときで、これが彼らにとっての最後の休息となりました。そこで、カーシャはベスの耳掃除をするカララの姿を見て、コスモに対して素直になり、Aメカのコックピットに向かいます。カララの赤ん坊はメシアと名付けられ、ソロシップのクルーの希望となったのです。

しかし、バッフクランの攻撃は巧妙で、大量の戦艦と重機動メカを犠牲にしながら、ソロシップを彗星にぶつける作戦を敢行します。

イデの防衛本能にとって重要なハイパー・ルゥ

シェリルは、ハイパー・ルゥを宇宙服に入れてイデの自己防衛本能を刺激し、イデオンガンのエネルギーを充填させます。その衝撃の余波でシェリルは死に、ギジェの魂と出会います。ハイパー・ルゥはイデのバリヤーで守られ、ソロシップに帰還します。

イデオンは彗星をイデオンガンで撃ち抜いて、ソロシップは窮地を脱したかのように見えました。しかし、そこにハルルの指揮する部隊が、2つ脚のジョングによって、ソロシップに取り付き白兵戦を仕掛けてきました

カーシャは、カララを守るため、ソロシップの防衛戦に参加します。ハルルは、ソロシップの中に入りこみ、カララと対峙します。カララを守ろうとして、パンダ・ロッタは死に、カララは姉を銃で撃ちますが、ハルルの撃った弾丸はカララの・・・を撃ち抜きます。

しかし、カララは死んだのですが、胎児は生きていました。イデにとって必要なのは、メシアだけであり、母体の生死は関係がなかったのです。そして、この凄惨な光景を見てカーシャは叫びます。「お星さま・・・、そうよ、みんな星になってしまえ!」と。

イデオンのコスモとデクは、重機動メカを倒しつつも奮戦していました。レッド・ポイントと名付けたイデのレーダーの光は点滅したままです。そして、ソロシップとイデオンの射線上に超新星爆発のエネルギーを溜め込んだ、ガンド・ロワが強大なビームを発射しました!

イデオンとソロシップは直撃コースだったのでしたが、ソロシップの甲板もへしゃげました。しかし、急速DSドライブでギリギリ避けていたのです。

その頃、オーメ財団のギンドロ・ジンムに対してドバは、バッフクランの母星が流星によって消滅したことを伝えました。ギンドロは、この事実を知って錯乱し、ドバに射殺されます。一方で、地球も流星によって破壊されていたのです。ドバは、この頃にはイデが全ての生命をやり直そうとしていることに気づいていました。

そして、帰還したハルルはドバにカララを・・したことを話ます。しかし、ハルルは女として好きな男性との間に子を成したカララに嫉妬したことをドバに告げ、ダラムと何もないままに別れたことを悔いていました。

ドバは、これまで男のように猛々しく振る舞うハルルが、女としての自分をさらけ出したことに嫌悪を感じ、「私はお前を女として育てた覚えはない!」と言い放って部屋を出ました。

一方、亜空間飛行中のソロシップとイデオンは、イデオンガンをレッドポイントに向かって発射します。バイラル・ジンの下部の1/3が消滅し、ハルルはその時に死にます。

そして、デスブレーキをかけ、バイラル・ジンのレッドポイントをイデオンは破壊しようと仕掛けます。一方でドバは、2人の娘と最後まで分かり合えなかった父親としての苦しみを、ロゴ・ダウの異星人にぶつけようとしていました。

ドバは、当時2人の娘(うち一人はダンサーで振付家の富野幸緒)がいた富野監督が、娘の成長した姿を想像しながら描いたキャラクターです。

そして、一体の重機動メカがイデオンガンとイデオンを繋ぐ腹部ケーブルを捨て身の攻撃で切断しました。コスモは、イデオンガンを振り回し、重機動メカに叩きつけると、バイラル・ジンに向かいます。

ソロシップでは、クルーが次々と死んでいきました。カーシャも爆発の破片で蜂の巣にされ、アーシュラもバズーカで・・・を吹き飛ばされます。コスモはカーシャの死を聞いて、「こんな甲斐のない人生なんて、俺は認めないぞ!」と叫びます。

「皆・・の富野」と呼ばれるのもザンボット3以上に凄惨なイデオンと、同じく一人を除いて敵味方全滅するダンバインという富野作品からです。

一方で、バッフクランにも混乱がありました。イデの発動に恐れた将兵が、ドバを射殺したのです。イデオンはブリッジを破壊し、レッドポイントは消失します

ソロシップで奮戦を続けていたベスは、子供達までが死んでいく様子をみて「コスモ・・・、俺達はやることが遅すぎたのかもしれないな・・・」と呟きます。

そして、「死なば、もろともー!」と叫んで肉薄した重機動メカに刺し違えられ、コスモもデクも死にます。イデオンがイデの力を放出すると、バイラル・ジンの溜め込んだ超新星爆発のエネルギーも解放され、その空域にあった生命体の全てが消滅したのです。

そして、因果地平の彼方では、メシアとルゥに導かれるように、敵対していた人々の魂が仲良く集まっていました。全員・・・なのは、魂としての存在だからでしょうか。そんな中、コスモだけは疲れ切っていたのか、なかなか目覚めませんでした。

余談ですが、富野監督の1998年放送のアニメ『ブレンパワード』のオープニングでは、女性キャラクターがなぜか・・・ですが、イデオンのラストを意識しているのかもしれません。

側に寄り添っていたカーシャがコスモを心配していると、キッチンが目覚めのキスをして、コスモはようやく目覚めました。キッチンは、孤児達の所に行き、コスモはカーシャと2人で旅立ちます。

全ての魂が、メシアに導かれ、新しい生命の星に光となって向かいました。最後に、生命の源である海が実写で描写され、イデオンは完結します。99分もの発動編は、湖川友謙が大半の原画を描いて、メカ作画を板野一郎が担当しました。『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』は、安彦良和がほとんど書き直しています。

悲壮なまでの戦闘を繰り広げるイデオンと、人の持つ凄まじい業、新たな輪廻を描ききった大作です。未だに、この作品を超えるアニメ作品を見たことがありません。

イデオンに影響を受けた作品

出典 http://www.sunrise-inc.co.jp/ryvius/

『無限のリヴァイアス』に登場するヴァイタル・ガーダー

同時期に、最終回を劇場でやった作品としては、『宇宙戦士バルディオス』があります。こちらは、葦プロダクションのロボットアニメで、イデオンと同じく悲劇的な作品です。若干ながら、バルディオスの公開の方が早かった(1981年12月)ため、富野監督が悔しがったという逸話が残っています。

バルディオスに関しては、相互に影響しあったのではないでしょうか?イデオンの劇場版は、興行的には失敗ですが、あらゆるクリエイターに影響を与えた作品として知られています。

1995年放送のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』庵野秀明は、イデオンに多大な影響を受けています(同じガイナックス制作の1988年のOVA『トップをねらえ!』も含む)。暴走するエヴァ初号機は、イデオンの制御不能なところと重なる部分が多いです。

夕方18時のアニメで、性描写やグロテスクな描写があったとして、最終話を打ち切られ、後に劇場版で最終回を描いたエヴァとイデオンは、どことなくシンクロします

同じサンライズ作品で、谷口悟郎が監督した1999年放送の『無限のリヴァイアス』では、自我をもつ宇宙船と巨大ロボットから、イデオンを思い出しました。こちらは、『銀河漂流バイファム』のような要素と群像劇といった印象が強く、イデオン好きなら視聴してもらいたいアニメの一つです。

サンライズ第2スタジオのメンバーが作ったアニメスタジオBONES制作で、出渕裕が監督した2002年のテレビアニメ『ラーゼフォン』も、イデオンと『勇者ライディーン』に影響を受けた作品です。出渕裕は、『戦闘メカ ザブングル』、『聖戦士ダンバイン』で富野由悠季と仕事しています。

新海誠監督の初劇場公開作2002年の『ほしのこえ』でもイデオンと、トップをねらえ!のようなロボットと宇宙戦争が描かれています。直接の影響は不明ですが、XEBEC制作の『蒼穹のファフナー』、鬼頭莫宏の漫画『ぼくらの』にもイデオン以降のアニメの影響が見え隠れしていました。

ぶっちゃけ、アニメ関係者だけでなく、福井晴敏のような小説家やその他の分野にも多大な影響を与えた作品です。富野アニメの最高傑作であり、筆者の中でイデオンは、一つの指標であり、この作品を基準にしてアニメを見ていると言っても過言ではありません。

 

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