MotoGP 2019 第9戦 ドイツGPは、旧東ドイツのザクセン州にあるザクセンリンクにて7月7日に開催されました。このドイツGPは、ホンダのエース、マルク・マルケス選手が得意としていて、MotoGPで7年連続でポール・トゥ・ウィンを果たしています。
目次 この記事の内容
- 最高速が300km未満のサーキット
- 圧巻のマルケス!
- 大きく差のついたチャンピオンシップ
最高速が300km未満のサーキット
出典 https://www.honda.co.jp/ 6番グリッドを獲得したカル・クラッチロー選手
ザクセンリンクは、全周3,671kmでストレート区間は780mでアップダウンの激しいコースです。ラグナ・セカと並んで低速サーキットとして有名です。ストレート区間の長いところでは350kmを超えるMotoGPマシンでも、最高速が300kmに満たないストレートの短いサーキットです。
ディフェンディング・チャンピオン、マルク・マルケス選手は、このコースを得意としており、Moto3、Moto2合わせると過去9回連続優勝しています。しかし、最近のヤマハの好調ぶりにより、今年のドイツGPでは苦戦が予想されていました。
フリー・プラクティスでは、マルケスの後にヤマハ勢やスズキのアレックス・リンス選手が続いていくという展開で、LCRホンダのカル・クラッチロー選手も自転車トレーニング中に怪我を負ったはずなのに好調でした。
Moto3の予選では、佐々木歩夢選手がポール・ポジションを、鳥羽海渡選手がセカンドローを獲得し、日本人選手としては16年ぶりのポール・ポジション獲得、1、2位は18年ぶりということになりました。
MotoGPの方は、マルク・マルケスがポール・ポジションとなり、10年連続ポール獲得しました。そして、2位にはペトロナス・ヤマハのファビオ・クアッタハッホ選手が、3位にはヤマハ・ファクトリーのマーヴェリック・ビニャーレス選手が、それぞれ入りました。
オランダGPで足を負傷したLCRホンダの中上貴晶選手は、Q2に進出し、予選10位と怪我してもいい位置にはつけました。
圧巻のマルケス!
出典 https://www.honda.co.jp/ 圧倒的な強さのマルケス
期待したMoto3は、小椋、鈴木、佐々木選手がそれぞれ7〜9位に入りました。そしてMotoGPの決勝レースがスタートしたのですが、ポールスタートのマルケスが、スタートは失敗したように見えました。しかし、1コーナーの飛び込みでトップに出ると、そのまま周回を重ねていきました。
レース序盤に2位走行中のクアッタハッホが転倒すると、その後ろを走行していたビニャーレスと、リンス、クラッチローとトップのマルケスの差は開いていきました。リンスが、ビニャーレスを抜いて2位に浮上しましたが、転倒しクラッチローが追いついてきます。トップのマルケスは、速いペースで周回し、後続との距離を広げます。
ぶっちゃけ、4位争いが一番見所があって、ドゥカティ・ワークスのダニーロ・ペトルッチ選手と、同じチームのアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手、プラマック・レーシングのジャック・ミラー選手のドゥカティ同士の意地のぶつかり合いは、毎周ポジションが入れ替わる激しいものでした。
この4位争いに、スズキのジョアン・ミル選手が絡んでのデッドヒートは、これぞMotoGPというバトルで、楽しませてもらいました。クラッチローは、ラスト数週までビニャーレスを抜こうとしていましたが、ミスのせいで差が開いてからは、表彰台獲得を優先しました。
レースは、結局マルケスが大差の10年連続のポール・トゥ・ウィン、2位にビニャーレス、3位にクラッチロー、4位にペトルッチとなりました。5位にはドヴィ、6位にミラー、ミルは7位でした。レプソル・ホンダの負傷欠場のホルヘ・ロレンソ選手の代役、ステファン・ブラドル選手は10位でした。
足を負傷した中上は14位で、2ポイント獲得しました。ヤマハのヴァレンティーノ・ロッシ選手は8位と元気がありません。
大きく差のついたチャンピオンシップ
出典 https://www.honda.co.jp/ マルケスを止めるのは誰か?
そして、今回からMotoEが開催されました。MotoEとは、電動バイクによるレースのことで、エネルジカ・モーターカンパニーから供給されるマシンの1メイクレースです。
記念すべき初優勝は、アジョ・モータースポーツの、ニキ・トゥーリ選手です。始まったばかりのレースですが、将来は電動化する可能性の高い二輪でも、国際的なレースが始まった意義は大きいと思います。
一方で、Moto2でポール・トゥ・ウィンをしたアレックス・マルケスと、兄のマルクのダブル・ウィン、マルクは10年連続優勝の偉業を成し遂げました。チャンピオンシップでも、2位のドヴィに58ポイント差をつけ、以下3位ペトルッチ、4位リンス、5位ビニャーレス、6位ロッシとなっています。中上選手は12番手です。
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ 調子の上がっているビニャーレス
マルケスは、これで2レース続けてリタイヤしたとしても、まだトップでいられるポイント差をつけたということです。こうなると、マルケスを止められるのは、最近調子の上がってきたヤマハか、スズキのリンス、はたまたドヴィ、ペトルッチなどのドゥカティ勢ということになります。
クアッタハッホは、予選でのスピードという点では、マルケスを脅かす速さを持ちつつあります。しかし、決勝では安定してペースを維持することができていません。しかしながら、今年中に1勝はするライダーだと思っています。
ドゥカティ勢の不振は、ストレートの長いサーキットでのレースで、解消されるかもしれません。しかし、前半で圧倒的にアドバンテージをつけたマルケスを追い抜く決めてに欠けているような気がします。案外、リンス、ビニャーレスあたりが、後半戦でのキーとなって来るかもしれません。
ドゥカティは、昨年も前半戦で安定しないマシンだったのを思い出しました。ここ数戦はテクニカルコースが続いたこともあり、後半戦からの巻き返しがありそうです。
1ヶ月後のサマーブレイク明けが楽しみですが、その前に7月28日に鈴鹿8時間耐久レースがあります。今年も観に行く予定です。
レースの関連記事はこちら
ピンバック: 2019 鈴鹿8耐 後編:稀に見るほどのドッグファイトと苦い結末 | K.T Dogear+