MotoGP 2018 第12戦イギリスGPは、雨で中止となりました。再舗装した路面の排水性が極端に悪く、陥没したアスファルトに水溜りができるという劣悪なコンディションで、FPでも転倒者が続出していました。
天候よりもサーキットの問題?
2010年時のシルバーストンのコースレイアウト
今回、8月26日にMotoGPが開催されたシルバーストン・サーキットは、イングランド中部のノーサンプトンシャー州と、南東部のバッキングシャー州をまたいだ場所にある、1947年からの歴史あるサーキットです。
第2次世界大戦中は、イギリス空軍の基地として使用されていた土地で、滑走路の名残がコースに残っています。ストレート区間の多い、高速サーキットとしても知られています。
今年になって舗装し直したばかりのアスファルトに、ところどころ陥没があり、水溜りができていました。先に開催されていたF1でも、問題点を指摘する声もあったようです。
また、天候が変わりやすい場所にあるのに、排水性が良くないという欠点があります。新しい路面は、雨によって油が浮きやすく、滑りやすいとのことでした。同じように天候がころころ変わるオランダのダッチTTでは、雨が降っても問題なくレースを行っています。
転倒者続出!波乱だらけのFP
ロッシもお手上げの状況?
予選前のFP4で、ドゥカティのティト・ラバト選手が、7コーナーで転倒しました。そのすぐ後で同じように転倒したホンダのフランコ・モルビデリのRC213Vがラバト選手の足に直撃しました。
ラバトは、複数箇所を骨折するという大怪我を負い、翌日の決勝レースは欠場することになりました。路面に水溜まりが出来てきる状況で、ラバトよりも前に転倒していたスズキのアレックス・リンスは、マシンを転倒する前に飛び降り、難を逃れました。
MotoGPマシンは、4ストロークの1,000ccのプロトタイプマシンです。共通ECUなどにより、出力の調整が難しくはなっていても、210馬力を優に超えるモンスターマシンです。
このような大出力のマシンで、路面の水溜りや、油の浮いている状態がいかに危険か解ります。シルバーストンは、改修後にチェックしたようですが、雨でMotoGPが開催できる状況になかったのは明らかです。
安全性が確保されない状況で、ライダーを危険な目に合わせたのは、天災ではなく人災ではないでしょうか。どのように考えても、雨の状況でのテストが足らなかったと思います。
予選トップは、ドゥカティのホルへ・ロレンソ、2位に同じくドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾ、3位にヤマハのサテライトのヨハン・ザルコ、4位は、ホンダ最高位のカル・クラッチロー、5位にホンダワークスのマルク・マルケスという順位になりました。
3クラス中止は前代未聞!問われる安全管理
ドライでは速かったビニャーレス
午前中のテストでは、ヤマハのマーヴェリック・ビニャーレス選手が速いラップタイムを刻んでいました。午前はドライで、雨は降っていませんでした。天気予報では、午後から雨だったので、MotoGPを先に出走させる予定になっていました。
僕は日テレG+でいつもMotoGPを観賞しているのですが、ウォーミング・アップラップで、滑りまくるマシンを見たときに、これは危ないなと思いました。午後の早い段階で既に雨は降ってきていたのです。ハイドロプレーニング現象により(タイヤと路面の間に水が入りこみ滑る現象)、マシンが暴れているのです。
ライダーや、チームからの抗議が続出し、レースは中断しました。”Race delayed”の表記が2時間以上続いていたので、これは中止になると確信しました。4時間30分後、案の定、レースは3クラスともに中止となりました。
最高峰クラスの中止というのは、1980年のオーストリアGP以来の出来事です。もっと早く中止の決断をしてくれたら良かったと思います。次は、9月9日のサンマリノGPです。スカッとしたレースを期待します!
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