今年も鈴鹿8時間耐久ロードレースに行ってきました!第41回大会となる今年は、ヤマハファクトリーに対抗するチームが、4連覇を阻止するのか?台風12号の影響は?今年の鈴鹿も熱いバトルがありました。
白熱の予選結果!ジョナサン・レイの驚異的な速さ
決勝レースでのチーム・グリーン ジョナサン・レイ選手
金曜日の予選で、驚異的な2分5秒168を叩き出し、ワールド・スーパーバイク王者の貫禄を見せつけた、カワサキ・チーム・グリーンのジョナサン・レイ選手が凄すぎます!
トップ10トライアルも期待していたのですが、東日本にから西日本にかけて台風12号が直撃しそうなので、土曜日の鈴鹿への現地入りはあきらめました。トップ10トライアルは、台風の影響で予定を短縮するために1台ずつ走る形式を止め、時間の短縮できる同時出走の計時予選という形にしたそうです。
前夜祭も時間を繰り上げ、ブースの出展も取りやめにするところが出てくるなど、台風の影響は大きいです。テントサイトで宿泊していたお客も、テントを畳む必要がありました。
カワサキ・チーム・グリーンが圧巻のポール・ポジションとなり、2位にヤマハファクトリー、3位にホンダワークス、4位にヨシムラ、5位にハルクプロと有力チームが上位を占めました。
心配なのは、土曜日のフリー走行中に転倒したヤマハ・ファクトリーの中須賀選手です。計時予選に出走していなかったので、本選は無理かもしれないと思いました。
大荒れの天気でスタートに間に合わず
何度もSC(セーフティー・カー)表記が出た大荒れの天気
大阪から、鈴鹿に向けて出発したのが8:40頃で、ピットウォークには間に合わなくても、スタート前の1時間前には到着する予定でした。ホンダ NC750Sに跨り、西名阪を快適に走って、名阪国道に入りました。
伊賀周辺で豪雨にあい、サービスエリアで雨が小康状態になるまで待ちました。天気の影響を心配していたので、クルマで行くべきでした。時間がかかり過ぎて、鈴鹿サーキットに到着したのが11時50分過ぎでした。
11時30分のスタートに間に合わなかったのは、今年が初めてです。ピットウォークの写真は今回はありません(涙)。楽しみにしていた人ごめんなさい。全部台風が悪いんや・・・。僕が鈴鹿サーキットに到着したときには、雨が止んでいました。
体を拭いたり、着替えたりしていると12時過ぎてしまいました。先に現地入りしていた兄と合流すべく、グランドスタンド前のイベントエリアに急ぎました。
CBR1000RR押しのホンダブース
兄と合流するまでの間、イベントブースにいました。ホンダのブースに設置されているモニターで、レースを見てから、展示車コーナーをうろうろしました。ホンダは8耐マシンのベース車両、CBR1000RR押しの展示をしていました。新型のシングルスポーツ車、CB250Rに跨ってみたかったのですが、CB1000Rしか置いていませんでした。
ヤマハブースでは、期待していた新型セロー250を見ることができませんでした。いいバイクなので、この機会に展示して欲しかったです。どこも250ccクラス売る気あるのかよ!とツッコミたくなる展示内容でした。
兄と合流すると、やたらと高い料金のサーキット内のブースでの昼食をやめて、遊園地コーナーのリーズナブルな食堂に向かいました。アドベンチャイナのアドベンチャー・ビックボス(ネイキッド・スネークみたいな名前)という4人前の巨大ラーメンをなんとか2人で平らげました。
ようやく、レース観戦をする体勢が整い、立体交差やヘアピン方面に向かいました。写真を撮る場合のおすすめは、低速のコーナーです。レースは始まっていて、大迫力のバトルが序盤から展開していました。
序盤から激しい攻防
2周目で転倒したハルクプロ
ル・マン方式の押しがけスタートで、ホールショットを奪ったのはレッドブル・ホンダ・日本郵便の高橋巧、2位にチーム・グリーンのレオン・ハスラム、3位にヤマハ・ファクトリーのマイケル・ファンデルマーク、4位にヨシムラのシルヴァン・ギュントーリという順位です。
2周目にハルクプロのマシンが転倒し、有力チームがトップ争いから脱落するという波乱含みの雨のスタートとなりました。モリワキは、清成選手でスタートし、スリックタイヤをチョイスするという賭けに出ていました。これは結果的には、レインの方が良かったと思います。
レース開始から30分もすると、路面が乾いてきていました。桜井ホンダやチームアジアがピットインするなど、各チームがスリックタイヤに交換し始めます。ヨシムラもピットインし、ユーズドのスリックに交換します。
序盤トップ争いをしていたヨシムラ
ヤマハは、マイケル・ファンデルマークのままスリックに交換のみのピットインで、カワサキはジョナサン・レイにチェンジします。そこから、さらに4分後の42分にホンダワークスがピットインして給油に手間取り、少し遅れてしまいます。
この時点でのトップは、12番のヨシムラ、2位に11番のカワサキ、3位21番のヤマハ、4位に33番のホンダワークスという順位です。47分にシケインでジョナサン・レイがヨシムラのシルヴァン・ギュントーリを抜いてトップに!そのすきにヤマハのマイケル・ファンデルマークも2位に上がります。
波乱は、スタートしてから1時間経過してからでした。なんと3位走行中のヨシムラのシルヴァン・ギュントーリがムサシシケインで転倒しました!なんとかピットに戻るもののトップ争いから脱落してしまいました。634番のハルクプロのランディ・ド・プニエが転倒し、指を負傷してしまいました。
カワサキのジョナサン・レイとヤマハのマイケル・ファンデルマークはトップ争いを繰り広げます。1時間16分には、チームカガヤマのジョー・ロバーツが転倒し、ピットインを余儀なくされます。この後、各チームがピットインしてライダー交代をしていきます。
2時間経過時の順位は、トップは21番ヤマハファクトリー、2位に11番のカワサキ・チーム・グリーン、3位に33番のホンダワークス、4位に95番のスズキ・エスパルスチーム、5位に090番のauテルルホンダ、6位に22番のホンダ・アジアチーム、7位に5番のTSRホンダ、8位に25番のホンダ・スズカレーシングチーム、9位に10番のエヴァRT、10位に19番のモリワキとなりました。
ここまでで、ヨシムラ、カガヤマなどのスズキの有力チームが転倒し、トップ10から脱落してしまいました。ホンダは、6台のCBR1000RRがトップ10に残るなど、複数の有力チームがトップ10圏内に入っています。
ヤマハは、ワークスチームが中須賀の怪我の影響を感じさせない走りを見せてトップ争いをしていますし、カワサキのチームグリーンのライダーの速さは驚異的でした。
SCによるレース中断の多い41回大会
SC中断時の判断の失敗したホンダワークスチーム
2時間1分時に、最終コーナーでゼッケン10のエヴァRTが転倒します。2:16には、ヤマハとカワサキのトップ争いが熾烈になります。2:24にカワサキのレオン・ハスラムがヤマハを抜いてトップになります。
レースが開始してから、2:27にヘアピンの手前で88番のクラブネクストのCBR1000RRが転倒し、炎上します。オフィシャルが消火作業に入り、イエローフラッグがふられます。すかさず、NSXとシビックタイプRのSC(セーフティカー)が入り、レースは中断します。
2:35には、イエローフラッグは解除され、その半周後にレースはリスタートします。カワサキとヤマハは激しくトップ争いをし、ホンダワークスの中上貴晶選手は、その間に2位に3秒後半差まで詰めます。
2:44には、21番のヤマハと11番のカワサキがそれぞれピットインします。2:53にはホンダワークスもピットインし、高橋とライダー交代します。2:58には、カワサキのジョナサン・レイが2分7秒527のファステストを記録します。
3:00経過時の順位は、カワサキ、ヤマハ・ファクトリー、ホンダワークス、auテルル、スズキ・エスパルス、TSRホンダ、ホンダ・アジア、ホンダ・スズカ、モリワキ、GMT94ヤマハとなっていました。3:06経過時のトップの周回数は81です。
3:44にトップのヤマハファクトリーが、ピットイン、ライダーがアレックス・ロウズに交代しました。その1分後には、ジョナサン・レイがピットに入りましたが、ガス欠のため時間をロスしてしまいます。ライダーは、レオン・ハスラムに交代しました。
3:54にホンダワークスがピットイン、ライダーを中上にチェンジします。ホンダの方が燃費がいいのではないでしょうか?明らかにピットのタイミングが他のチームとは異なります。ベースとなったCBR1000RRは、車重が若干軽いのでそこが効いているのかもしれません。
モリワキのCBR1000RR
4:00には、TSRホンダもピットインし、ライダーをジョシュ・フックに交代します。ここまでの順位は、21番のヤマハ、33番のホンダワークス、11番チームグリーン、090番auテルル、95番スズキ・エスパルス、5番のTSR、22番ホンダアジア、25番のホンダ・スズカ、19番のモリワキ、94番のGMT94ヤマハとなっています。
4:42にヤマハが、4:43にカワサキがピットインした直後に雨が降り始めます。その影響で、S字でゼッケン73のR.C.のりものが、スプーンでゼッケン43のホンダ熊本が相次いで転倒し、更にデグナーで634番のムサシRTハルクプロが転倒してしまいます。ライディングしていた水野涼選手は、左腕を骨折したようです。
4:50には再びSCが入りレースは中断します。順位は33-21-11-090-5となっていました。そろそろレースの中断が終わると思われていた5:03にストレートで80番のTONERTのBMW S1000RRが先行車と接触して激しくクラッシュしました!
この影響でSCは継続し、1コーナー付近では虹が見えました。5:12には大雨が降ります。スリックのままでは危険なので、33番のホンダワークスはレインタイヤに交換します。ライダーは、パトリック・ジェイコブセンなのですが、この判断が勝つチャンスを逃してしまうことになります。
5:25には有力チームが続々とピットに入ります。090番auテルルはライダー秋吉、レイン交換、21番はライダーの交代はなしでレインに交換します。チームグリーンのジョナサン・レイがピットに入る前にスプーンカーブで転倒!スリックを引っ張りすぎた影響が出てしまいます。
5:26にピットインしたゼッケン11のマシンを、クルーが必死にダメージチェックします。SC先導のスローペースだったことが幸いして、深刻なダメージはなく、左側のステップと、クラッチレバーの交換、ハンドルの調整で復旧しました!レインタイヤに交換し、ライダーは渡辺一馬選手に交代しました。
カワサキ ZX-10RRの応急措置は素早く的確でした。しかし、カワサキは順位こそ3位ですが、2位のヤマハファクトリーに大幅に遅れることとなります。5:32におよそ42分のSCによる中断は終了します。
レオン・キャミア不在が招いた決着
ヤマハは、YZF-R1の20周年を記念してホワイトの特別カラーで統一した
ここでの順位は33-21-11-95-090-5-22-19-25-94でした。トップ争いは、この直後に行われることとなります。21番のマイケル・ファンデルマーク選手がトップの33番のパトリック・ジェイコブセンに襲いかかります。
予選でのタイムは、マイケル・ファンデルマークが2分7秒台で、パトリック・ジェイコブセンは2分8秒台です。もし、ここでホンダワークスの中で最速タイムを出していた2分6秒台の高橋選手なら、ヤマハファクトリーに抜かれることはなかったでしょう。
たらればですが、宇川監督はパトリック・ジェイコブセンにも1スティント走らせようとしたのでしょう。しかし合同テスト中に負傷したレオン・キャミアの代役であるPJには荷が重過ぎるタイミングだったと思います。
対照的に21番のヤマハファクトリーの吉川監督は、エース中須賀の負傷という事態を受けて、他の2人のライダーで戦う判断をしました。その結果、マイケル・ファンデルマークは最大のライバルであるホンダワークスからトップを奪ったのです。5:37スプーンカーブでの見事なオーバーテイクでした。
5:39には再びオイル漏れの影響で3度目のSCが入ります。5:50には雨が上がりますが、路面はまだ濡れていました。6:00には、148周となり順位は21-33-11-090-95-5-22-25-94-19-111-2となっていました。6:12にはSCが終了します。
パトリック・ジェイコブセンは、SCの間にヤマハとの差を詰めましたが、再びマイケル・ファンデルマークに引き離されます。トップ争いはここで決着がついてしまいました。
TSRホンダとGMTヤマハのチャンピオン争いの行方
世界耐久選手権のトップチーム TSRホンダ
6:20頃、逆バンクで090番auテルルの秋吉選手が転倒してしまいました。5位という順位につけていただけに残念です。94番のGMT94がピットインし、スリックタイヤに交換し、マイク・ディメッティオがライディングします。
6:46にカワサキがピットインし、スリックに交換、レオン・ハスラムとライダー交代します。ヤマハもピットに入り、アレックス・ロウズがライディングします。
6:52にTSRもピットイン、最後の走行担当はジョシュ・フックです。33番のホンダワークスは、中上が最終走者となりました。6:58に世界耐久チャンピオン争いのチーム同士がやり合う展開となります。
5番手争いで、ゼッケン5と94がテール・トゥ・ノーズという熱い展開に!94番が前に出ます。7:07にはライト・オン・ボードの提示がありました。世界耐久選手権のルールによりライトはスタートから点灯しています。鈴鹿の伝統としてライト・オンがされると、レース終盤という感覚は残っています。
この時点での順位は、21-33-11-95-94-5-22-25-19-111という順位でした。7:17には、カワサキの11号車が最後のピットイン、ジョナサン・レイがライディングしました。94番GMTヤマハは、燃料の関係でTSRに及ばず。ピットインしてデビィット・チェカに交代し、6位になります。
7:29にはバックストレッチで25番のホンダ・スズカ・レーシングが白煙を上げて止まりました。おそらくエンジンブローでしょう。これにより19番のモリワキが8位に上がりました。
7:44には、ヤマハ・ファクトリー最後のピットインで給油のみ、ライダーはアレックス・ロウズのままで中須賀選手は怪我のため本戦は走行しませんでした。7:48には、10番のエヴァRTが復帰しました。メカニックの懸命の復旧のおかげです。
感動のフィナーレとヤマハ・ファクトリーの4連覇達成!
出典 https://race.yamaha-motor.co.jp/ この画像のみヤマハ公式ページのもの他は筆者が現地で撮影
8時間にわたるドラマも最終ラップとなりました。アナウンサーのフライング?で携帯のライトを点けるタイミングが早くなってしまいましたが、気にせず長時間戦ったライダーやチームスタッフを称えました。
トップは、199周したヤマハ・ファクトリー・レーシングチームです。その30秒後に同じ199周で2位のレッドブル・ホンダ・日本郵便が入りました。1ラップ遅れて3位表彰台にカワサキ・チーム・グリーンです。
4位にスズキのエスパルス・レーシングチーム、5位にF.C.C.TSRホンダ、6位にGMT94ヤマハ、7位ホンダ・アジア・ドリームレーシングチーム、8位にモリワキ、9位にホンダ・エンデュランス・レーシングチーム、10位にヨシムラという最終リザルトとなりました。
ぶっちゃけ、台風に振り回された8耐だったと思います。台風が過ぎてからは、本戦でのころころ変わる天候といい、難しい条件での耐久レースになりました。しかし、勝負どころでものをいったのが、ライダーのスプリント勝負でした。
チーム・グリーンは、一発の速さではダントツでした。SBK3年連続チャンピオンのジョナサン・レイの速さは本物でした!カワサキ ZX-10RRのBF(バランスフリー)サスペンションの効果は絶大で、レイが余計な力をいれずに軽々とコーナーを抜けていく光景が見られました。
しかし、燃料切れや雨の転倒という耐久レースらしいアクシデントにより3位となりました。最後にレイとロウズの握手が印象的でした。
プライベーターの名門、モリワキが8位、ヨシムラは序盤の転倒から徐々に追い上げ、最終的には10位に入りました。スズキ最上位は、5位のエスパルスレーシングチームで、来年の巻き返しに期待します。
10位中5台がホンダのCBR1000RRベースのマシンでした。今年からワークス体制となったホンダでしたが、高橋選手、中上選手、ジェイコブセン選手の奮闘虚しく2位フィニッシュとなり、来年こそは優勝して欲しいです。
ヤマハ・ファクトリーは、鈴鹿初となる単独チームの4連覇を達成しました!YZF-R1の20周年にふさわしい、メモリアルな勝利だったと思います。エース中須賀の怪我にもめげずに2人のライダーで戦い抜いたチームに脱帽です。
結局今年もブリヂストンタイヤのチームが優勝しました!これで8耐13連覇、おまけに表彰台独占は7回目です。そろそろ他のタイヤメーカーも勝利が欲しいところでしょう。
そして、日本のチームとして世界耐久王者となったTSRホンダは素晴らしいです。TSRはワークス不在のときの8耐優勝経験のある名門チームです。来年も8耐で暴れてくれるでしょう。やっぱり8耐は最高です!
結局表彰式を見ずに、帰ったのですが、同じ伊賀付近でまたも豪雨にあいました。今年の8耐はつくづく天気に祟られたので、来年はてるてる坊主を作っておこうと思いました(笑)。
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