前回に引き続きセンスのいいオープニングアニメを紹介していきます。今回は11位~20位までを解説します。色々と悩みましたが、順位については筆者の好みです。
第11位 ばらかもん 『らしさ』
出典 https://www.vap.co.jp/barakamon/
『ばらかもん』は、2014年にヨシノサツキの同名漫画をアニメ化した作品です。悩める書道家の半田清舟が、五島列島での暮らしをコメディタッチで描いています。
半田は、基本的に書道以外のことはダメダメで、ATフィールド(笑)を常に纏っているような性格でしたが、元気のいい小学生、琴石なるを筆頭とした島民と接していくうちに内面が変化していきます。
https://youtu.be/PqRhNrJ3VaI
YouTubeに筆者が投稿したらしさのカバーです。
その影響は徐々に作品にも及ぼし、形式にとらわれない自由奔放な書を見出していくようになります。半田の島での生活をコメディタッチで描かれており、難しさより、楽しさこそが書を高めていく原動力になっていくのです。
制作はキネマシトラスで、監督は橘正紀、音楽は”GHOST IN THE SHELL”の川井憲次が担当しています。ばらかもんの内容としっかり合っているオープニングテーマ『らしさ』は、日本のバンドSUPER BEAVERの曲です。
第12位 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY “THE WINNER”
出典 http://www.gundam0083.net/
MIOの2期オープニングと迷ったのですが、曲としては、こちらの“THE WINNER”のノリの方が好みなので、こちらにしました。アルビオンからガンダムGP01が発進するシーンは最高です!
『機動戦士ガンダム0083』は、OVAのSTARDUST MEMORYと劇場版のジオンの残光がありますが、今回はOVAの方の2~7話のオープニングです。”THE WINNER”は、作曲を都志見隆が、作詞を安藤芳彦、ボーカルを松原みき(大阪府堺市出身)がそれぞれ担当しています。
本作は、1991年にOVAとして販売されました。ガンダムシリーズのOVAの初作品は、1989年の『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』です。ガンダム0083は、ポケットの中の戦争と比較して戦闘描写が多く、モビルスーツの活躍の目立つ作品でした。
制作は当然ながらサンライズで、監督は前半が加瀬 充子で後半が今西隆志です。ジオン側の方が、シーマ・ガラハウを除いてまともなキャラが多く、地球連邦軍は腐りきっています。シナプス艦長が責任を取る形で処刑されたのはショックでした(本編ではテロップのみ)。
第13位 PSYCHO-PASS サイコパス “abnormalize”
出典 https://psycho-pass.com/
“PSYCHO-PASS サイコパス”は、2012年にノイタミナ枠で放送された近未来の監視社会とその中で働く警察機構を描いた作品です。2112年の日本が舞台で、シビュラと呼ばれるシステムによって、あらゆる犯罪を測定できるようになりました。
人々は、犯罪係数によって監視されるようになり、警察もそれに伴ってオートメーション化されています。ドミネーターと呼ばれるサイコパスを測定できる銃によって取り締まることの出来るかつての警察機構が、厚生省内部の公安局です。
サイコパスは、公安局の監視官常守朱と執政官(潜在犯の刑事)の狡噛慎也が中心に描かれます。そして、生まれつき犯罪を犯してもサイコパス判定で常にクリアな免罪体質者の槙島聖護が、シビュラシステムと対比的に描かれていきます。
究極の監視社会における犯罪を描くことによって、システムに支配された人々の矛盾とシステム自体の不完全さを表出させています。シビュラシステムが実は完全なシステムではないのに、それに代わる社会を人類によって築けないことが根本的な問題であり、この作品のテーマでもあります。
監督は、『踊る大捜査線』の本広克行、脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄、制作はProduction I.Gです。独自の世界観のある3ピースバンド凜として時雨によるオープニング曲abnormalizeは、本格的なバンドサウンドによる勢いのある曲です。
ちゃんとしたバンドの曲と、プロダクションI.Gによる素晴らしい映像の相乗効果により、優れたオープニングとなっています。
第14位 聖戦士ダンバイン 『ダンバインとぶ』
筆者がカバーしたダンバイン とぶの動画です。
富野アニメといえば、MIOです。『戦闘メカ ザブングル』の挿入歌から本作『聖戦士ダンバイン』、『重戦機エルガイム』のオープニングとエンディングをそれぞれ担当しました。
MIOといえば太いアルトの声質で、Rock調の曲を得意としていますが、情感のあるバラードもこなせます。1980年代のアニソンの女性ボーカリストとして最も有名でした。
『ダンバインとぶ』は、MIOの代表曲です。作曲は網倉一也、作詞は井荻麟(富野監督の別名)で、作品にマッチしたアップテンポの熱い曲です。
『聖戦士ダンバイン』は1983年に朝日放送系にて、放映されたSFファンタジーロボットものです。おそらく、このダンバインが、初めてのファンタジーロボットアニメだったと思います。監督は、『機動戦士ガンダム』、『伝説巨人イデオン』の富野由悠季(喜幸)です。
第15位 東のエデン “Falling Down”
出典 https://www.production-ig.co.jp/works/juiz/
『東のエデン』は、2009年にノイタミナ枠初のオリジナルアニメとして放送された作品です。監督は『攻殻機動隊 S.A.C.』の神山健治、キャラクターデザイン原案に『ハチミツとクローバー』、『3月のライオン』の羽海野チカ、音楽に川井憲次という豪華メンバーです。
Production I.G製作による本作は、近年の中でも評価の高いアニメで、劇場版も製作されています。特筆すべきは、あのoasisの曲をオープニングに使っていることです。オアシスは、90年代のイギリスのカリスマバンドです。
“Falling Down”は、オアシスの2009年発表の最後のスタジオアルバム“Dig Out Your Soul”の7曲目の静かな曲です。ノエル・ギャラガーのボーカル曲らしい、しっとりとした曲調で、東のエデンの雰囲気に合っています。
海外のトップレベルのバンドと、日本の優れたアニメスタジオのコラボレーションによるオープニングは、もはや芸術の域にあるといっても過言ではありません。
第16位 SPEED GRAPHER “Girls on Film”
出典 http://www.gonzo.co.jp/
Duran Duranは、1980年代に活躍したイギリスのバンドで、“Girls on Film(グラビアの美少女)”はMTVでヘビーローテーションされた曲です。
“SPEED GRAPHER”で、この曲がオープニングとして採用されたのには理由は、主人公雑賀辰巳が、カメラマンだからでしょう。スピードグラファーは、2004年にテレビ朝日系で放送されました。アニメスタジオGONZO製作で、監督はサンライズ作品で演出を担当していた杉島邦久です。
1クール目のオープニングは、本編映像の使い回しでしたが、2クール目から新たにオープニング映像を作り直し、見事なオープニングとなっています。バイオレンス色の強い作品でした。
第17位 スペースコブラ 『コブラ』
出典 https://www.tms-e.com/search/index.php?pdt_no=25
『スペースコブラ』は、寺沢武一のジャンプ漫画『コブラ』原作の1982年にフジテレビ系列で放送されたアニメです。本作は、東京ムービー新社(現トムス・エンタテインメント)製作です。東京ムービーといえば、『ルパン三世』や、『オバケのQ太郎』で知られる1960年代からの老舗アニメ製作会社です。
東京ムービー製作の『はじめ人間ギャートルズ』のオープニングは、ムッシュかまやつによるワウをかませたギターが強烈でした。ルパン三世シリーズといい、昔から音楽に定評のあるアニメを作っています。
スペースコブラでもその音楽センスの高さが遺憾なく発揮されており、特にオープニング曲「コブラ」は、ジャジーで大人の魅力に溢れた名曲です。作曲はルパン三世の大野雄二、作詞は冬社花代子、ボーカルは元宝塚の前野曜子です。
スペースコブラの監督は、『あしたのジョー』で知られる出崎統です。いわゆる出崎演出による見事なオープニングです。
第18位 WOLF’S RAIN “stray”
出典 https://www.amazon.co.jp/
“WOLF’S RAIN”は、2003年にフジテレビ系列で放送されたアニメです。日本より、アメリカの方が人気があるのは、菅野よう子による音楽の力が大きいのではないでしょうか?
オープニング曲“stray”は、菅野よう子の曲によく参加しているギタリスト、スティーブ・コンテがメインボーカルをしています。ボンズのスタッフによる作画と、洋楽のような曲により、印象的なオープニングとなっています。
製作は、サンライズ第2スタジオから独立したアニメスタジオ、BONES(ボンズ)です。監督は『人造人間キカイダー THE ANIMATION』の岡村天斎です。
第19位 THE SKULL MAN 『ひかりのまち』
https://youtu.be/5vxzhR9JOX8
筆者が投稿したスカルマンOP「ひかりのまち」のカバー動画です。
スカルマンは、石ノ森章太郎のヒーロー『仮面ライダー』の原型として有名です。1970年に週刊少年マガジンにて読みきり作品として書かれた漫画です。正式な続編として、島本和彦が1998年に『スカルマン THE SKULL MAN』としてコミックアルファにて隔週連載しました。
本作”THE SKULL MAN“は2007年にフジテレビ系列にて放送されたテレビアニメです。製作はボンズで監督はもりたけし、シリーズ構成及びスカルマンや獣人(GRO)デザインに『機動警察パトレイバー』、『聖戦士ダンバイン』の出渕裕です。
最終回にて、同じ石ノ森作品である『サイボーグ009』と関連性を持たせたことには、賛否両論ありますが、作画のレベルも高く質のいいアニメでした。『ひかりのまち』は甲斐バンドの曲で、本作はTOKIOバージョンです。アニメに合わせる形で2番から入ったのはいい判断だと思いました。
第20位 サイボーグ009 『誰がために』
出典 https://ishimoripro.com/
『サイボーグ009』は、いわずとしれた石ノ森(石森)章太郎原作の大ヒット漫画です。今回紹介するのは、1979年にテレビ朝日系列で放送された第2作目の方です。
製作は、日本サンライズで監督は、『装甲騎兵ボトムズ』で有名なあの高橋良輔で、オープニングを金田パースの金田伊功、音楽を『ドラゴンクエスト』のすぎやまこういちが担当するという後から考えると豪華なメンバーによる作品です。
同じ高橋監督のボトムズとガサラキという、2大オープニングがカッコいい作品も入れる予定だったのですが、尺の都合で同監督作は『サイボーグ009』のみとなってしまいました。
金田伊功によるオープニングは、9人のサイボーグ戦士の特徴をよく表しています。003のフランソワーズがアップだけだろ!といわれますが、003は索敵能力ももちろんですが、作品のメインヒロインなので、あのカットは充分以上の効果があります。
順位を1位としたいほどなのですが、近年のアニメのオープニングにもセンスのいい作品が増えてきていたので、あえて20位とさせてもらいました。
『誰がために』は、同じ枠の前作『宇宙海賊キャプテンハーロック』の平尾昌晃が引き続き作曲しています。作詞は原作者の石森章太郎自身が行っており、ボーカルは成田賢です。
オープニングアニメについて
出典 http://psycho-pass.com/
今回のランキングで、サンライズ作品が20作中6作と多いのは筆者がロボットアニメ好きだからです。他にはタツノコが3作、プロダクションI.Gが3作となっています。作品用に書き起こした曲が、20曲中18曲で、2曲のみが洋楽をそのまま流用しています。
アニメの内容に合ったオープニング曲というのももちろんのことですが、オープニングアニメの演出や作画も重要です。2位のモスピーダや、20位のサイボーグ009の金田伊功によるオープニングアニメは、飛びぬけたセンスだと思います。
一方で、菅野よう子の手がけたオープニング曲が3曲入るなど、近年のアニメでの菅野よう子の活躍ぶりがうかがえます。オープニングには、製作者やスポンサーなどを明記するという重要な役割もあります。
1980年代からミュージシャンの宣伝的な意味もあって、バンドやシンガーソングライターなども参加するようになりました。その流れは最近も続いています。
こうして見てみると多様性のあるオープニングアニメですが、このランキングの作品を凌駕するアニメが出てくることを期待しています。
アニメの関連記事はこちら
ピンバック: 2018年冬アニメランキング!その2 | K.T Dogear+
ピンバック: センスのいいオープニングアニメ ベスト20!前編 | K.T Dogear+
ピンバック: 異世界ファンタジーロボットアニメ!「聖戦士ダンバイン」と「ナイツ&マジック」 | K.T Dogear+
ピンバック: センスのいいアニメのエンディング ベスト10! | K.T Dogear+
ピンバック: 2018年冬アニメランキング!その1 | K.T Dogear+
ピンバック: アニメのデジタル彩色の進化:キルラキルとGレコによる線の進化 | K.T Dogear+
ピンバック: アニメのデジタル彩色について:キルラキルとGレコによる線の進化 | K.T Dogear+
ピンバック: サンライズのロボットものの元祖?:無敵超人ザンボット3 | K.T Dogear+
ピンバック: 異世界ファンタジーロボットアニメ!「聖戦士ダンバイン」と「ナイツ&マジック」 | K.T Dogear+