前回の記事で、フェンダー・ストラトキャスターについて書きました。ストラトで、マスターヨーダクラスといえば、Pink FloydのDavid Gilmourでしょう。
■ピンク・フロイドのギタリスト
ストラトキャスターで一番好きなトーンといえば、デヴィッド・ギルモアの出す音です。伸びやかなオーバードライブに、空間系のエフェクトをたっぷりかけた、デヴィッド・ギルモアのトーンは、それだけで説得力があります。
ピンク・フロイドのギタリストは、元々はシド・バレットだったのですが、ドラッグ中毒により活動が困難になったため、1968年に後釜ギタリストとして加入したのが、デヴィッド・ギルモアです。
ピンク・フロイドは、1967年にデビューしたプログレッシブ・ロックの代表格のイギリスのバンドです。キング・クリムゾンやエマーソン・レイク・アンド・パーマーなどのバンドと共に、前衛的で壮大な作風のプログレッシブ・ロックを確立していきます。
■The Dark Side of The Moonの衝撃
同じく、1970年代のピンク・フロイド
僕が、一番最初に聴いたピンク・フロイドのアルバムといえば、”Atom Heart Mother“です。牛の写真のジャケットで、有名なアルバムでしたが、個人的にピンとこなかったので、「プログレは俺にあわねー!」といって敬遠していました。
プログレ好きの友人とセッションしていると、「ピンク・フロイドやろうぜ!」と言われたので、これは聴いておかないとマズいなと思って、手に取ったアルバムが、1973年発表の”The Dark Side of The Moon“だったのです(邦題は狂気)。
2曲目まで、また小難しい退屈なのが続くなと思っていて、正直外れのアルバムのように感じていました。ところが、3曲目”Time“のベルの音の後から続く、長いイントロの後のデヴィッド・ギルモアのギターが、めちゃめちゃカッコいい!
サスティンの長さとトーンの伸び、曲のメロディとのバランス、なにもかもが素晴らしかったです。一度、受け入れてしまうと、ロジャー・ウォーターズ(ベース)の哲学的な歌詞も理屈っぽく感じなくなってしまいました。
“The Great Gig in the sky“はリチャード・ライトのピアノと女性コーラスの中心のイカした曲で、その後のB面からは名曲”Money“!ニック・メイスンのドラミングも冴えわたり、ここでもデヴィッド・ギルモアのギターが炸裂します。
The Dark Side of the Moonは、人間の狂気をテーマにした曲を繋げた、コンセプトアルバムです。SEは、A~B面の4~5曲目を除いて、曲間を繋げるように編集されています。アラン・パーソンズは、サンプラーのなかった時代に、曲間のSEを一つ、一つテープで貼り付けるという非常に手間のかかる見事な仕事をしています。
このアルバムがきっかけで、完全にピンク・フロイドにどっぷりハマってしまい、「プログレサイコー!」と趣旨変えしてしまいました。今までの拒否反応はなんだったのだと(笑)。
その後、”The Wall“などを聴いて更に、ピンク・フロイドの魔力にひたっていました。個人的にベストな、ピンク・フロイドの時期は、ロジャー・ウォーターズと他のメンバーがうまくいっていた、The Wallまでだと思っています。
実際に、ロジャー・ウォーターズ在籍の1983年発表の最後のアルバム”The Final Cut“では、キーボードのリチャード・ライトが脱退したり、デヴィッド・ギルモアと喧嘩したりと、あまりいいことがありません。
その後、1985年にロジャー・ウォーターズが脱退します。残ったメンバーは、デヴィッド・ギルモアの主導で新生ピンク・フロイドとして活動を再開します。
しかし、もはや1970~1981年の黄金期は過ぎ、ピンク・フロイドはその後もコンスタントにアルバムを発表しますが、The Dark Side of the Moonと、The Wallを超えるような名盤を作ることはなかったのです。
■デヴィッド・ギルモアの機材について
1980年代のデヴィッド・ギルモア
デヴィッド・ギルモアといえば、やはり、というか、やっぱりというかフェンダー・ストラトキャスターです(笑)。テレキャスに浮気することもたまにありますが、大抵ストラト使っています。
一番有名なスペックが、ボディが60年代後期のもので、ネックを付け替えたブラックのボディ、ブラックピックガード、白いピックアップカバーのストラトです。1970年代では、このボディにローズ指板の60年代のネックを取り付けていました。
デヴィッド・ギルモアのシグネイチャーモデル
そういえば、このボディに70年代の貼りメイプルのラージヘッドのネックを取り付けていたこともあります。次点で、有名なのがEMG PUを載せたキャンディ・アップル・レッドの57Vinストラトです。
アンプは、ハイワットのヘッドを愛用していたようです。エフェクターで印象的なのが、空間系でBINSON ECHORECという磁気ドラム式のエコーマシンです。他には、MXRのダイナコンプだとか、色々ありますが、半端ではないエフェクターの量なので割愛します。
デヴィッド・ギルモアのトーンは、ギタリストなら誰でも憧れる説得力のあるトーンです。僕は、Timeを最初に聴いてからデヴィッド・ギルモアの大ファンです。
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