前回は、柄にもなく安全運転について書きました。知人が事故で亡くなってからというもの、バイクで事故を起こさないことについて真剣に考えることが増えているからでしょう。
■峠は「楽しむ」場所
交通安全に関しては、安全講習を受けたり、メーカーが主催するバイクスクールに通うことが一番の近道だと思います。僕も、機会があれば安全講習をもう一度受けて、基本から見直そうと思っています。
一方で、バイクを積極的に「楽しむ」ことを忘れてはなりません。サーキットを走ることは安全に楽しむ行為だと思います。ランオフエリアやタイヤバリアなどの設備の整ったサーキットなら、転倒したときのリスクは低く、安全に「走り」を楽しむことができます。
しかし、気軽に「走り」を楽しむ場所である峠についてはどうでしょうか?峠の外側のガードレールや、落ちれば谷底といったシチュエーションは、どれだけ装備を整えていても危険と言わざるを得ません。
峠は「楽しむ」場所なのに、転倒して怪我や死亡することは、とてもつまらないことだと思います。今回は、長年峠を走っていて無事故、無転倒の筆者がこころがけていることを書いてみます。
■絶対に守っている5つのこと
誰でも初めて走る峠は慎重になります。しかし、普段から走り慣れている峠では、ペースを上げてしまいがちになります。重要なのは、初めて走るコースの心がけだと思います。
- ペースを落として様子を見る
- 路面状況を把握する
- 無理な追い抜きはしない
- ライン取りはセンターを意識する
- マナーを守ること
1の「ペースを落として様子を見る」は、公道である以上限界を超えないための必須項目だと思います。自分が出来るテクニックは、初心者だろうと上級者だろうと限界があります。
タイヤや、マシンの能力以上のコーナリングも当然ながら出来ません。マルク・マルケスのように走りたいならサーキットに行くべきです。峠は、転倒した場合のリスクの高い場所です。
誰でも初めて走る場所は慎重になります。慣れてくるとペースが徐々に上がり、コーナリングスピードも速くなっていきます。テクニックを身に着けることは、安全に走るためにも重要です。バイクは荷重移動を積極的に行うことで、コーナリングスピードを上げることができますし、ラインの自由度も向上します。
このレベルになってくると、今度は技術に過信して、更にペースを上げるようになってしまいます。慣れてきた頃が、限界を峠で試すようになる一番危ない時期なのです。
よくマンガで限界を突き詰めるような描写がありますが、完全にフィクションだと思ってください。現実に、限界を超えてしまうと下手したら死にます。
そこで、重要なのが公道であることを思い出すことです。初心に戻ってペースの限界よりも安全マージンをとることが重要です。バイクに限らず公道で走行する場合、最低でも3~4割は自分の限界よりもペースを落としましょう。それが無理なら、サーキットで限界を試してください。
2の「路面の状況を把握する」は、一般公道である以上、一番重要な項目です。峠はサーキットのように、路面が整備されている状況ではありません。
アスファルトの劣化もあり、轍があったりうねっていたりします。雨上がりの路面の場合、砂が浮いていたり、車やバイクのオイルが流れている場合もあります。
峠で安全マージンを取る一番の理由は、路面状況がころころ変わるからです。数回走った峠なら、路面のクセは把握できているのですが、初めて走るコースだと、自分が普段走り抜けられるスピードよりも速度を落として様子を見ます。
また、雨で路面が濡れている場合や、前日に雨が降っていた場合は、砂や埃が浮いていますので、慎重に走行しましょう。
3の「無理な追い抜きはしない」は、死なないための心がけです。一番やってはいけないのが、ブラインドコーナーでの追い抜きや、車やバイクを煽ることです。
峠は、一般公道なので、生活のために利用している車やバイクも走っています。公道という性質上、前に走っている車両を追い越し車線以外で無理に追い越すと交通違反になります。
とはいっても、大抵の場合、峠で追いつかれたら後ろの車両の方が技量が高いので、左に寄ってハザードを付けて譲ってくれる場合が多いです。その場合は追い抜いた後、一礼、もしくは片手を上げて挨拶します。
問題は、追い抜く場所です。Rのきついブラインドコーナーの途中や、見通しの悪いところでは、譲ってもらったとしても追い抜いてはいけません。
完全に反対車線の車両がいないことを確認できない限り、追い抜く行為は追突事故のリスクを増やしていることです。峠のことが解っているドライバーやライダーの場合は、長いストレートなど先の見通しのいいところで譲ってくれます。
それ以外の場所で、譲ってくれたとしても、親切どころか事故を誘発する行為です。焦る気持ちはわかりますが、我慢して後ろを走りましょう。
4の「ライン取りはセンターを意識する」は、基本です。サーキットの場合は、アウト・イン・アウトなどのコーナーを目一杯使ったライン取りが可能です。
峠の場合は、アウトに膨らんだ場合、反対車線の車やバイクと衝突するリスクがありますし、イン側には歩行者や自転車が走行している場合があります。
よって、見通しの悪いコーナーは全て、車線のセンター付近をキープすることが重要です。よっぽどのことがない限り、インをデッドに攻めるとか、アウト側ぎりぎりで立ち上がるなどという行為は非常に危険です。
5の「マナーを守ること」は、ライダーならば必ず守って欲しいことです。道路上に物を捨てたり、部品を落下させたままにしないことや、対向車線に出ないこと、峠で無理に競争しないことです。
道路上に物が落ちていると、それだけでも危険です。特に2輪の場合は、ちょっとしたことで滑ってコケてしまうことがあります。峠にゴミや部品は必ず捨てないこと、出たとしても持ち帰りましょう。
対向車線に出ないことは、最低限のマナーです。車だろうとバイクだろうと、頻繁にセンターラインを超えるようなら峠は走らないでください。最悪の場合は、正面衝突します。
最後は、峠で無理に競争しないことです。峠で後ろから追いついてきた車両があれば、自分より速いということです。その場合は、見通しのいいストレートに来たら、減速して左に寄せましょう。
後は後続車が抜いていくので、無理に突っ張るのは止めましょう。大抵の場合、車ならハザード、バイクなら挙手で礼をしてくれます。逆に譲ってくれた場合は、同じように挨拶しましょう。
追いつかれても、譲る気のない車両は危険です。下手に煽ると事故を起こす可能性があるので、車間距離を空けます。
色々と書いていきましたが、公道で走行する場合、正解というものはありません。しかし、上述した5つの心がけは、守った場合に確実に事故を起こすリスクを回避できます。
楽しくバイクに乗るためにも、転倒や事故は起こさないように、これからも気をつけたいです。
バイクの関連記事はこちら
ピンバック: バイクの公道での乗り方について | K.T Dogear+
ピンバック: NC750Sで走る冬の裏金剛 | K.T Dogear+
ピンバック: ネコの交通事故は習性から?近所の野良猫の事故と対策 | K.T Dogear+