最近はネットで無料で読めるマンガが増えています。”ReLIFE”を連載しているcomicoのようなサイトであったり、となりのヤングジャンプのように老舗の出版社が運用しているサイトもあります。
■無料マンガとは?
https://youtu.be/bjiUaUwwsqM
筆者が投稿した虫籠のカガステルを含んだ最近のマンガの紹介動画です。
ネットの普及によって、編集者と合わなかったり、同人誌や個人的にマンガを描いていたアマチュア漫画家が気軽に自分のサイトやマンガアプリに掲載できるようになりました。
アニメ化で話題の『ワンパンマン』や、『ブレイクブレイド』は元は無料マンガサイトに連載されていた作品です。今回は、個人的に気に入っている無料マンガを紹介していきます。
■虫籠のカガステル
出典 https://www.amazon.co.jp/
『虫籠のカガステル』は、2005年に橋本チキン(橋本花鳥)の個人サイト、チキンの魂にて連載が開始され、2013年に完結した無料webマンガの金字塔です。作者の橋本花鳥は、現在、月刊誌COMICリュウにて『アルボスアニマ』を連載しています。
個人サイトの作品とは思えないクオリティがあり、最後までしっかりとした構成で楽しませてくれたマンガです。ストーリーは、人が巨大昆虫になるカガステルという病気が流行した2125年の未来で、カガステルを狩る駆除屋として生きるキドウと、偶然救った少女イリの話です。
アクション活劇としての側面と、カガステルによって起きる人々の悲喜劇の2つがうまくブレンドされています。キドウの駆除屋になるまでの話や、駆除屋殺しと言われるアハトの過去など、登場人物の内面描写がしっかりしていて引き込まれました。
中盤以降は、カガステルが生み出された経緯や、イリの秘密など核心部分が出てきます。イリとキドウのラブストーリーも主軸の一つですが、カガステルという設定を生かした近未来アクション漫画としての完成度の高さは、商業誌の作品すら凌駕すると思います。
虫籠のカガステルは、フランスで人気が高く、フランスの漫画賞を2015年に受賞しました。リュウコミックスとして、徳間書店から出版もされており、全7巻が刊行されています。ちなみに僕は全巻買いました。
無料で現在も読めるので、ぜひ一読してもらいたい作品です。
※2020年2月追記
チキンの魂は、Yahoo!ジオシティーズの終了に伴い、現在は閉鎖されています。虫籠のカガステルは現在、Webで無料で読めなくなっています。なんと2020年2月6日からNetflixでアニメが配信されています。
■トモちゃんは女の子!
出典 https://www.amazon.co.jp/
『トモちゃんは女の子!』は、最近になって読み始めた柳田史太のツイ4のギャグ4コマ漫画です。ボーイッシュな元気のいい空手少女のトモちゃんが、幼馴染のジュン君に告白するのですが、女というより親友扱いされているため伝わらず、空回りする話です。
ヒロインのトモちゃんは、運動神経抜群で、ちょっとボーイッシュなだけの可愛い少女なのですが、空手家として強いだけに、同じ道場に通っているジュンに女性扱いされていません(笑)。
漫画の基本的な起承転結がはっきりと出る4コマならではの表現で生き生きしています。トモちゃんは、色々とジュンのことを意識していますが、ジュンは親友としてトモちゃんと付き合っているので、色々とズレています。
トモちゃんが報われることを願っていますが、面白がって2人の様子を見ているみすずちゃんのように、これからも楽しませて欲しい作品です。
■殺し屋ドロシー
出典 https://mangahack.com/
『殺し屋ドロシー』は、無料マンガサイトマンガハックにて連載中の岡野めるによるハードボイルド漫画です。この作品のキャラクターは全て動物ですが、意外なほどハードな展開の多い探偵ものです。
主人公は、狼の探偵ロボ・スペンサーです。ロボは、ウサギの殺し屋ドロシーをとある事件から追いかけます。危険に何度も首を突っ込むうちに、ロボ自身の過去にもまつわる事件の全容が浮かび上がってきます。
全体的にハードボイルドなテイストなので人を選びます。事件の謎や、緊迫感など、無料マンガの中でも卓越したストーリー展開で読み応えのある作品です。
岡野めるは、現在裏サンデーにて『となりのシャム猫探偵』を連載しています。殺し屋ドロシーが気に入ったのなら、こちらもオススメです。
■三つ編み娘とヒゲ男
出典 https://mangahack.com/
『殺し屋ドロシー』と同じく、マンガハックにて完結した遠藤平介の恋愛長編マンガ『三つ編み娘とヒゲ男』です。この作品を含めた遠藤平介のマンガは、現在もマンガハックにて読めます。
29歳の会社員笹瀬と、女子高生のアンとの年の差恋愛を題材にした恋愛ものです。笹瀬は、大人である自分自身が、高校生と付き合っていることに葛藤しています。
序盤はわりと楽しく読んでいられる話が多かったのですが、中盤以降は、重い禁断愛のキャラクターが出てきたりしていて、色々と考えさせられる作品でした。
遠藤平介の作品は、短編の切れ味が素晴らしいです。”CUTE GIRL”や、『掌の上の休日』など、大人の恋愛ものが、得意な漫画家だと思います。
■ワンパンマン
出典 https://www.amazon.co.jp/
『ワンパンマン』は、となりのヤングジャンプにて連載中のWEBマンガです。元々は、ONEが2009年から自身のサイトにて発表していたWEBマンガでした。2012年にとなりのヤングジャンプ連載にあたり、作画を村田雄介が担当することになりました。
ワンパンマンというのは、あくまでも作品タイトルであり、主人公サイタマのヒーロー協会登録名は、ハゲマントです(笑)。作品世界上最強の男ですが、飾らない性格のため、ヒーローランキングを気にせず行動しています。
よほどのことがない限り、サイタマが本気になることはありません。必殺技?「マジシリーズ」が炸裂するのは、ボロスなどの強敵のみです。
弟子でS級ヒーローのサイボーグのジェネスや、強力な超能力者のタツマキ、フブキ姉妹、みかけは強そうだけど実力はないキングなど、一癖も二癖もあるキャラクターが出てきます。
マッドハウスが手がけたアニメ版では、戦闘シーンの作画のクオリティが高かったです。ちなみに以前、ライターとしてマッドハウスの歴代アニメランキングを紹介したときの記事では、第3位にしました。
おすすめは、作画の安定した村田版ですが、ONE氏によるオリジナル版も味があって面白いです。ONEは現在、裏サンデーにて『モブサイコ100』を連載しています。
■WEBマンガの長所と短所とは?
ここまで紹介したWEBマンガは、現在も無料で読むことのできる作品ばかりです。本当はマンガアプリcomicoの作品も紹介したかったのですが、完全に無料というわけではなくなったため、今回は見送りました。
無料マンガの特徴として、プロの編集が介在しないことによる、自由度の高さがメリットとなっています。作画などが一定のレベルに達していなくても、アイデアと構成によって読者がつく場合もあります。
その反面、連載ではなく更新という形のため、なかなか続きが読めなかったり、展開が脱線だらけになってしまい破綻する可能性もあります。
そういったリスクのある無料WEBマンガですが、商業ベースにない魅力があることも事実です。虫籠のカガステルは、時間をたっぷりかけた作画やストーリー展開が魅力の作品です。
トモちゃんは女の子!は、4コマならではの制約を長所にしてテンポのいいギャグを展開しています。殺し屋ドロシーは、動物キャラによるハードボイルドという矛盾した要素を整合させ、読者を引き込むオリジナリティのある作品です。
三つ編み娘とヒゲ男は、年の差恋愛をテーマにしながらも、禁忌というものをとらえた異色作です。ワンパンマンについては、WEBマンガにしかなしえなかった新たなヒーローマンガといえるでしょう。
まだまだ可能性のあるWEBマンガなので、今後とも色々とチェックしていきたいと思います。
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