ホンダ CB750 (RC42):空冷CBのスタンダード

空冷CBといえば、有名な名車のCB750Fや、現在販売されているCB1100ですが、1992年から2008年にかけて、16年もの間、生産され続けたCB750(RC42)こそがスタンダードな空冷CBだと思っています。

大型教習でお世話になったバイク

出典https://www.honda.co.jp/  CB750 後期型の青×白カラー

筆者が大型2輪教習を受けていた2015年には、徐々にNC750L(NC700Sの教習仕様車)に入れ替えが進んでいました。それでも、波状路の練習には、極低速域で扱いやすい空冷直列4気筒のCB750が使われていて、教習所でもお世話になったバイクなのです。

4気筒バイクの教習で感じたいいところは、2気筒だとノッキングしそうなS字でも2速で走られることです。中低速トルクは2気筒の方があるのですが、エンジン全体の滑らかなフィーリングは4気筒の方に分があります。空冷エンジンのため、10~11月頃の教習でもエンジンがほんのり熱かったです。

ぶっちゃけ、CB750FOURのような60年代の名車のような味というよりも、80年代以降のホンダの特徴である滑らかなモーターのように回るエンジンという印象を受けました。

空冷ならではの乗り味を重視して開発された後継バイクであるCB1100とは対照的に、80年代の空冷エンジンを改良して載せているから、こういったフィーリングになっているのだと思います。

結局、ホンダの免許応援キャンペーンを適用し、NC750Sを購入したのですが、空冷CBであるRC42には心惹かれるものがありました。スペック的には、当時の先端のバイクに及びませんが、スタンダードな外見と扱いやすい特性により、隠れた人気のあるバイクでした。

ノーマルで235kg、教習仕様車は、ガード類で250kgを超えていましたが、750ccのパワーとトルクにより車重よりも軽快に感じました。教官の話によると、オイルクーラーは標準装備で、教習仕様にのみ電動ファンが付いているとのことでした。

ネイキッドブームにより登場したCB

出典https://www.honda.co.jp/ CB750の初期型

RC42型のCB750が、登場した1990年代初頭は、水冷エンジンのマシンが主流でした。ホンダは水冷でV型4気筒のVFR750Fが主流になり、水冷直列4気筒の900ccのCBR900RRが発売されるという1992年に、ナイトホーク750の後継バイクとして、空冷直列4気筒のCB750を販売開始したのです。

ぶっちゃけ、空冷CBは最新の水冷4気筒マシン、CBR900RRの登場で時代遅れのエンジンでした。しかし、ネイキッドブームにより1991年にゼファー750が登場すると、ホンダも輸出用のナイトホーク750の国内販売を開始し、CB750の開発と水冷4気筒ネイキッドバイク、CB1000SFを投入するのです。

CB750に搭載されていたRC17E型エンジンは新規開発でもなんでもなく、1980年代のCBX750のものと同形式のもので、使い回しです。それでも、高回転指向の4気筒にしては、比較的ロングストロークで中低速に定評のあるエンジンのため、扱いやすくネイキッドのオールマイティな使い方にマッチしていました。

このRC42型CB750は、最初黒の単色のみという扱いで人気はなかったと思います。どちらかというと最新のネイキッドであるCB1000SFの方が、目立っていました。1996年に大型二輪免許が教習所で取得できるようになると、ホンダは教習車としてCB750を売り込みました。

出典https://www.honda.co.jp/ 2004年の後期型の人気カラー赤×白

扱いやすい特性と、丁度いいパワーでCB750は、隠れた人気が出始めるようになりました。2004年のマイナーチェンジで、CB750Fを彷彿とさせる赤と白のストライプカラーが出始めるようになると、人気が再燃してきました。

CB1000SFと、その後継であるCB1300SFシリーズは、車重が250kg以上あったのに対して、CB750は235kgで、最大出力75PS、最大トルク6.5kgf・mと扱いやすく、スタンダードな750ccとして、2008年まで生産され続けたのです。

この頃の大型バイクは、リッターオーバーの隼やZZRのような高速クルージングを得意とするバイクや、600ccと1,000ccのSS(スーパースポーツ)が主流だったのです。峠やツーリング、普段使いに適したバランスのいいCB750が、16年もの間、愛され続けた理由は、乗って良さに気付くバイクだからでしょう。

※CB750 RC42 スペック表

CB750 RC42
最高出力 PS/rpm 75/8,500
最大トルク kg・m/rpm 6.5/7,500
車体サイズ mm 2,155×780×1,100
車両重量 kg 235
燃料タンク容量 L 20
使用燃料 無鉛レギュラー

後継バイクは2種類?RC42がスタンダードだった理由とは

CB750の後継バイクのCB1100

CB750が2008年に生産終了したのは、厳しくなった排ガス規制に適応できなくなったからです。そこで、ホンダは空冷CBの後継バイクであるCB1100を開発し、2010年から販売開始しました。

CB1100では、CB1300SF/SBのような大型バイクを所有する満足感よりも、フレンドリーなバイクとして設計されています。243kgという250kgを切る車重に、6~70年代の空冷4気筒バイクのフィーリングを再現するために、18インチタイヤを採用していました。

しかし、初期型のCB1100よりも、CB750の方を好むライダーもいました。まず、タイヤがクイックなハンドリングの17インチであること、次にタンク容量が20Lあることです。


空冷のCBとはいっても4気筒の大型バイクなので、回すと燃費はあまりよくありません。CB1100は、EXやRSといった派生型が追加されるまで、タンク容量が14Lと少なかったのです。

筆者個人は、CB1100は好きなバイクで、特に初期から現行のCB1100のタンク形状は美しくカッコいいと思っています。しかし、ロングツーリングによく出かけるのなら、キャブで始動性が悪くてもCB750の方を選ぶでしょう。

今ではCB1100RSという17インチで、タンク容量が16Lあるバイクが販売されているので、買い替えを考えているCB750のオーナーはそっちを選ぶと思います。

筆者の乗っていたNC750S

そして、CB750のもう一つの側面である扱いやすい大型教習車としての後継バイクは、NC750Lです。この2台の教習バイクは、どちらもお世話になりました。

僕個人が、大型教習を受けていた2015年には、八尾柏原教習所にNCが数台導入されていて、ほぼ同型バイクであるNC750Sを購入予定だと教官に告げると優先的にNCに乗せてくれました。

2011年から販売開始したニュー・ミッド・コンセプト車の3タイプのバイクは、同じフレームとエンジンでした。その中でもスタンダードなNC700Sは、大型2輪の教習車として、適合するために745ccにボアアップされて2013年に販売されたのです。

つまりNCシリーズは、教習向けのNC750Lが一番最初にボアアップされて、2014年からNC750XとS、インテグラの3つのタイプも669ccから745ccに排気量アップしたということなのです。

筆者は、CRF250Lに乗り換えるまでの3年間、NC750Sに乗っていましたが、教習所でたくさんNC750Lに乗ったおかげで、最初から乗りやすく、燃費も良くて楽しいバイクでした。

CB750と比較すると、フロントブレーキがダブルではないので制動力では敵わないこと、4気筒の滑らかなフィーリングという面で劣っています。しかし、NCはインジェクションのため、始動性も高く、メットインスペースもあり、軽くて燃費もいいバイクでした。

また、CB750は開放型バッテリーであることから、バッテリー補充液が必要になるという古い構造故のデメリットもありました。

出典https://www.honda.co.jp/ CB750の最終モデルのスペシャルバージョン

それでも、CB750に後継バイクが2台も用意されていた本当の理由は、バランスが良かったからではないでしょうか?CB750は、CB1100ほど高級感がなく、最終モデルでも75万円というリーズナブルな価格で乗りやすいバイクでした。

ホンダは、高級で単価の高いCB1100と、安価で扱いやすいNCシリーズの2つに分けてラインナップを補強しました。しかし、バランスのいいRC42は一台でこの需要をこなしていたのです。最もスタンダードなCBの称号は、CB750にこそふさわしいものだと思います。

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