国会議事堂 1

モリカケ問題と戦前の五・一五事件について

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安倍政権は、森・加計問題で公文書を含めた証拠がこれだけ出ているのにも関わらず、総辞職という当たり前のことをしていません。この状況は、戦前の五・一五事件のような不当な行為を黙殺した結果に繋がる危険性があります。

民主主義国家として認定されなくなる危険

まともな民主国家なら、既に安倍と麻生が逮捕されていてもおかしくない森・加計問題です。公文書よりも役人や、政治家の記憶力が正しいはずはなく、関係性を完全に否定できていない段階で裁判ではアウトです。

また、国有財産は私的に流用していい性質のものではありません。国家戦略特区についても公平な審査がなければなりません。そして公文書は改竄していいものでもありません。行政は、あくまでも主権者である国民から負託されているものであり、総理大臣は国王でも皇帝でもないのです。

毎回のように新たな文書が出てきています。愛媛県からの柳瀬元秘書官との面会記録や、財務省からのすぐに剥がせる森友に関する黒塗り文書などです。黒塗りの部分には、元のデータが残っていたものをデジタル公開されており、簡単な処理で剥がせられる性質のものでした。

そこに書かれていたのは、自民党の稲田朋美政調会長の夫である稲田龍示弁護士や、二階俊博政務会長の名前でした。麻生は、5月28日の国会で「また新たな文書が出てくるかもしれない」と無責任にも述べました。

稲田は、国会で森友にはまったく関わっていないと発言していました。これは当然ながら虚偽答弁になります。また、同日の衆議院で共産党の小池晃議員が提示した「意見交換概要」には、2017年9月に大田理財局長と、国交省の蝦名航空局長が会談したことが解っています

この文書の会談には、会計検査院の報告書に対して、森友学園への売却問題の総額を消すといった内容が書かれていました。これが事実なら、行政の不正は決定的です。

ここまで証拠が出揃っているのに、未だに総辞職もなく、1人の逮捕者も出ていない国なぞ、民主主義国家とは言えません!国際的な信用もガタ落ちで、海外の投資家は日本のことを専制国家として敬遠するという動きまで出てきました。国民として、恥ずかしいことだと思います。

五・一五事件とその後の軍国主義

出典 https://ja.wikipedia.org/wiki/

今回の森・加計問題でオーバーラップするのは、1932年(昭和7年)5月15日に起きた五・一五事件です。当時の日本は、ようやく大正時代からの衆院選挙が機能し始めていた頃でした。「憲政の常道」と呼ばれる与党第一党が政権を担うといった議会制民主主義にシフトし始めていたのです。

しかし、当時は世界恐慌の真っ只中で、経済状況がとても厳しく、国民の生活は苦しいままでした。第一次世界大戦の終結により、ロンドン海軍軍縮条約が国際的に結ばれました。1930年当時の内閣は濱口内閣でしたが、若槻元首相が全権をもって条約を結びました。

これにより、日本は艦艇の数を英米よりも削減することを余儀なくされ、海軍将校に若槻は恨まれる結果となりました。次に発足した若槻内閣を襲撃する計画を立てていた海軍将校でしたが、1932年当時は、犬養毅を総理大臣とする内閣に代わっていたのです。


海軍将校の目的は、軍閥内閣を成立させることでした。そのため、直接恨みのない犬養首相を暗殺するという暴挙に出たのです。犬養首相は、「話せばわかる」といって暗殺してきた将校を応接室に招いた後、撃たれました。同時に内大臣官邸や立憲政友会本部、警視庁などが襲撃されましたが、こちらはたいした損害はありませんでした。

若槻元首相のとばっちりを受けた形の犬養首相ですが、立派な人格者であった半面、統帥権干犯問題を引き起こしています。これは、ロンドン海軍軍縮条約に伴って犬養率いる立憲政友会が、統帥権を持ち出した軍部の主張を利用して、濱口内閣を批判しました。

その結果、絶えず議会に影響力を与えようとしていた軍部に、政治に統帥権を持って関与するという悪い先例を作ってしまったのです。しかし、今度はその軍部によって犬養首相が暗殺されるのですから、歴史とは皮肉なものです。

そして、五・一五事件の最大の問題は、政党政治に対する国民の不信感や、メディアによって、大規模な助命嘆願運動が起こってしまったことです。これにより、実行犯は、極めて軽い量刑で済んでしまいました。

文民統制という真っ当なことよりも感情的な論理が押し通ってしまった結果、二・二六事件に繋がってしまうのです。この事件がきっかけで、後の軍国主義が出来上がってしまったといっても過言ではありません。

二・二六事件は、五・一五事件の4年後の1936年の2月26日に起こった陸軍将校のクーデター未遂事件です。五・一五事件との大きな違いは、二・二六事件は陸軍の皇道派の起こした組織だったクーデターだったことです。

五・一五事件は、いうなれば複数人によるテロ事件でしたが、処罰がきわめて軽く、このことが二・二六事件を起こしやすくしてしまいました。この結果襲撃を受けた高橋是清大蔵大臣、斉藤実内大臣、松尾伝蔵内閣総理大臣秘書官、渡辺錠太郎陸軍大将などが亡くなっています。

二・二六事件は結局、2月29日には鎮圧され、反乱軍将校らは免官させられました。皇道派の陸軍大将は、予備役にされたり、満州の皇道派の軍人は軒並み逮捕されました。クーデターに参加した下士官については、命令に従っただけとされ無罪放免となりましたが、新たに配属された部隊での扱いは厳しいものでした。

そして、事件を主導したメンバーは、17名が極刑に処せられました。これにより、統制派(軍を主導とした国家総動員体制を目的とした陸軍内部の派閥)が幅をきかせることとなり、日本は軍国主義となっていくのです。というのも民主政治家が、2つの軍部の起こした事件にすっかり萎縮してしまったからです。

安倍政権と日本会議は軍国主義の亡霊?

出典 https://ja.wikipedia.org/wiki/

ざっと五・一五事件と、その後の軍国主義に繋がった歴史を振り返ってみました。軍部の起こしたテロ事件やクーデターとは意味が違うやろ!と反論されるかもしれません。しかし、国家が行ってはならないことをして、それを看過するということについては、五・一五事件と森友、加計問題は非常に似通っているのです。

そして、首相と日本会議の起こした事件を隠蔽するために、文書を改竄までした財務省の罪は重いです。もちろん、別件ではありますがイラク戦争、南スーダンのPKOにまつわる日報を隠蔽した問題も根元は同じところにあります。

以前朝日新聞がスクープした記事にあった文書の改竄の中に、日本会議の名前が頻繁にありました。日本会議は、改憲を目指し教育勅語のような戦前の教育を復活させ、かつての戦争を肯定する宗教ベースの団体です。

安倍政権は、かつての軍国主義の亡霊ともいえる日本会議の影響を多大に受けており、日本会議議員懇談会のメンバーが中心となっています。

そして、今回の件で忘れてはならないのは、2018年4月に現役の自衛官が民進党(当時)の国会議員を脅した事件です。統合幕僚監部指揮通信システム部の3等空佐が、小西議員を国会近くの路上で罵声を浴びせたという事がありました。

これは、文民統制上で最も行ってはならない例です。ある程度の防衛力のある組織の幹部が、政治家を恫喝するというのは、異常事態であるといっても差しつかえありません。

しかも、この3佐の処分は訓戒処分ということです。訓戒とは、文字どおり注意をするということで、自衛隊の中では下から3番目に軽い処分です。シビリアン・コントロールに抵触し、自衛隊法にも反する政治的行為にも関わらず、この程度の処罰で済んでしまっているということが、安倍政権の危険性を裏付けています。

隊友会(自衛隊のOBや現役隊員の参加する公益法人)のメンバーが、日本会議の改憲署名運動に協力しているという事実があります。自衛隊法に反する行為を繰り返している、自衛隊は安倍政権によってタガの外れた状態となっています。

安倍政権と日本会議、隊友会の目的は、戦前の国家体制への回帰という古めかしいものです。戦後の日本は、民主国家として生まれ変わり、平和を享受することで国民の意識は変わりました。

安倍とその支持層は、ステロタイプな大失敗した思想にしがみつき、未来思考を持ち得ない硬直化した物の見方しか出来ません。一部の愚かな声だけ大きい勢力をこれ以上のさばらしておくことは、国益にかかわるほどのひどい状態をもたらしているのです。

※2018年6月追記

大阪地検は、佐川前国税庁長官を公文書改竄や国会での虚偽答弁を不起訴にするという報道が出ています。財務省の他の職員に関しても起訴はしない方針で、これだけ公文書を改竄していながら、誰も罪に問われないという近代国家と思えない地検の判断にはあきれました。

また、財務省の内部調査によると佐川理財局長が政治関係者の名前があるから「最低限の記載とすべきである」と促し、理財局の中村総務課長と田村国有財産審理室長が改竄を始めたという調査結果となっています。

いやいや、普通に考えておかしいだろ!政治家の名前が書かれているから一々忖度して改竄するはずありません。公文書を改竄することは、1年以上10年以下の法定刑が確定するほどの重罪なのに、職員が勝手に書き換えるはずはないのです。

しかも、佐川氏は停職3ヵ月、麻生は続投って意味が解りません。民間の会社だったら間違いなくトップの首が飛んでいます。五・一五事件も処罰されるべき将校が軽い量刑のみで終わったことから国の方向性がおかしくなりました。

今回のモリカケ問題も同じように幕引きをされたら、日本という国家そのものが海外からも国民からも信用されないようになるのです。

 

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