357マグナムリボルバーの名銃とは?

一般的にオートマチックピストルは、機構の複雑さからジャム(弾が詰まること)に陥りやすく、高威力の弾丸の発射には向いていません。昔からあるリボルバー(回転式拳銃)の方が、マグナム弾などの威力の高い弾を使用できます。

357マグナム弾とは?

357マグナムは、38スペシャル弾を元に開発されたカートリッジです。1934年に発表された.357マグナムは高威力の弾薬として普及していきます。

357マグナムは、38スペシャル弾と口径は9.1mm(0.357インチ)と同じですが、約3.2mm薬莢を延長しています。銃身とシリンダーの口径を、9.1mmにして、圧力を高めて高威力化したのが、357マグナムの原理です。更に、高威力化向けの新しい発射薬をカートリッジ内に充填しているのが、357マグナム弾なのです。

フレームを高圧力に耐えられるように開発されているのが、357マグナム用の銃器です。38スペシャル用の銃器では、使用できないように、357マグナムのケースを延長しています。これは、火薬の量を増やすためではなく、銃の暴発を防ぐという安全上の理由からでした。

逆にいえば、357マグナム弾を使えるリボルバーには、38スペシャル弾の使用には問題がないということです(デザートイーグルなどのオートマチックは別)。357マグナムは、一撃必殺のマンストッピングパワーと、鹿のような中型の動物をも仕留められる威力を持った弾丸なのです(熊を倒すには44マグナムが必要)。

357マグナムの名銃その1 S&W M27

S&W M27 最初の357マグナム リボルバー

最初の357マグナムリボルバーは、S&W M27です。より大口径用のNフレームを基に開発されているので、大きく重い銃です。そのため、357マグナムの高威力にも充分以上耐えられます。

1935年に販売開始されましたが、当時は主に受注生産でした。1939年までは、登録(レジストレーション)を兼ねた証明書を発行してもらうことが出来たため、レジストレーション・マグナムと呼ばれています。

その後、357マグナムを求めるユーザーによって普及していきました。ジョージ・パットン将軍が、ピースメイカー(SAA)と共に、3.5インチのM27を愛用していました。

アニメや漫画では、『シティーハンター』の冴羽獠が、分解してコートの中に隠し持っている銃として登場しています。また、『ルパン三世』の次元大介が、劇場版で使用しているのもM27です。

357マグナムの名銃その2 S&W M19

S&W M66コンバットマグナム のステンレスモデル

Nフレームは、本来44マグナム弾で有名なM29などの大型フレームだったので、M27は持ち運びに不便な大きさと重さでした。1955年に販売されたS&W M19は、小型で軽量なKフレームを基に作られた、携行性の高い.357マグナムリボルバーです。

S&W M10(ミリタリーポリス)などに使われるKフレームは、38スペシャル弾用のフレームでした。M19は、国境警備隊の、ビル・ジョーダン大佐の意見によって耐久性を強化し、357マグナム弾の使用に耐えうるようになっています。

確かに、Kフレームでは強度上の問題により、357マグナム弾の連続使用には向いていないです。普段から38スペシャル弾を使い、ドア越しでの射撃戦などで、357マグナムをぶっ放す用法こそが、M19の真骨頂なのです。

携行性の高さは、地方の警察にとって重要な要素であり、38スペシャル弾と357マグナムを使い分けつつ、任務に当たることのできる銃がコンバット・マグナムと呼ばれるM19なのです。M19のステンレスモデルは、M66です。

アニメや漫画では、ルパン三世の次元大介が、漫画版では2.5インチのM19を、アニメでは4インチのM19を愛用しています。『ゴルゴ13』のゴルゴ13のサブアームとしても活躍しています。

357マグナムの名銃 その3 コルト・パイソン

コルト・パイソン 初期のモデルの高精度さは有名

コルト社の357マグナムリボルバーとして有名なのが、コルト・パイソンです。特徴は、バレルの下部に付いているエジェクター・ロッド・ハウジングです。銃口の下にまで、延長されたエジェクター・ロッド・ハウジングにより、357マグナムの強烈な反動を押さえる効果があります。

コルト・パイソンは、初期のモデルの熟練工による工作精度の高さが有名です。販売されたのは、1955年からで、高級モデルとして売り出されています。

熟練工が引退すると作りは悪くなっていきます。2005年に生産終了となり、今でもコルト・パイソンの初期モデルの中古相場は高いです。仕上げの美しい、コルト・パイソンは『リボルバーのロールス・ロイス』と呼ばれていました。


価格が高いために、ライバルのM19の方が警察を中心に普及していましたが、人気という点では、美しいデザインのコルト・パイソンは高かったのです。

実写映画では『ブラック・レイン』の主人公ニック刑事が、『蘇る金狼』では、朝倉哲也がそれぞれ使用しています。漫画、アニメでは、シティハンターの冴羽獠や、『ワイルド7』のオヤブンが愛用しています。

357マグナムの名銃 その4 S&W M586/M686

S&W M586-7 最も丁度いいサイズの357リボルバー

大きく重い、Nフレームは357の耐久性には優れていましたが、携行性に問題があり、Kフレームは小さく軽いものの耐久性に問題がありました。S&W社は、この問題を解決するために中間サイズのLフレームを新たに開発し、最もバランスの優れた357マグナムリボルバーM586/M686を完成させます。

1980年に販売開始したスチールモデルのM586とステンレスモデルのM686は、357マグナム用リボルバーとして、ダブルアクションのスムーズさに定評のある銃でした。

競技用としてM586/M686を愛用しているシューターも多く、工場の精度の向上もあって、現在でも人気のあるモデルです。『あぶない刑事』のタカが、M586の4インチモデルを愛用していることで有名です。

今でも活躍している357マグナムリボルバー

コルト・パイソンの弾倉

357マグナム弾は、44マグナム弾より威力は劣りますが、反動の強さは357マグナムの方が押さえられています。また、最初の拳銃用マグナム弾として、充分に強力な弾であり、様々な名銃によって普及していきました。

現代では、オートマチックピストルの台頭により、一線からは退きましたが、地方の警察やガンシューターなどが愛用しています。ジャムりにくく、高威力の357マグナムリボルバーは、今も現役で活躍しているのです。

ミリタリー関連の記事はこちら

 

357マグナムリボルバーの名銃とは?」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: ALPHA M-65 フィールドジャケット:アメリカ軍の傑作ジャケット! | K.T Dogear+

  2. ピンバック: コルト M1911 (コルト・ガバメント):100年経った今でも現役の名銃 | K.T Dogear+

コメントを残すコメントをキャンセル

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください