Rockのファルセット(裏声)で参考にした60年代のバンドについて

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今回は、ロックにおける重要な要素であるファルセット(裏声)について書いてみようと思います。ロックは、コーラスワークの得意なバンドが多いです。

優れたコーラスワークにファルセットは必須?

参考動画としてボブ・ディランの曲でザ・バンドのバージョンを意識した”I Shall Be Released”をカバーしてみました。

1960年代のバンドだけでも、ビートルズを筆頭にCSNや、ザ・バンドなど枚挙に暇がありません。バンドは基本的に男ばかりのグループが多いので、3度上のハモリをする場合、ファルセット(裏声)を有効に使うことが求められるのです。

僕の専門はギターですが、バンドで他にメインボーカルがいる場合は、バックボーカルをします。その場合のハモリとして、メインボーカルがバスならバリトンもしくはテナー、バリトンならバスもしくはテナー、そしてテナーならバリトンもしくはバスといったパートを担当することになるのです。

初めて、ハモったときは全然うまくなかったです。そこで、The Beatlesのコーラスワークをマネしました。僕は、ボーカルを練習してうまくなったタイプですので、どちらかというと苦手意識がありました。

ジョン・レノンとジョージ・ハリソンの声質が似ているので、メインボーカルの区別がしにくかったのですが、ビブラートの多い方がジョージで、曲のクレジットがハリソン名義の場合は原則ジョージです。

ビートルズは、作曲者がメイン・ボーカルを担当することの多いバンドでした。ポール・マッカートニーが一番ボーカルうまいと思いますが、ジョンの個性的なボーカルには魅力を感じますし、ジョージのナチュラル・ビブラートにはしびれます。また、リンゴ・スターも朴訥な声でイエロー・サブマリンのメイン・ボーカルを担当したりしています。

ビートルズの凄いところは、全員がボーカルが出来、且つコーラスワークが非常にうまいというところです。特に、ファルセット(裏声)による高音域のコーラスは、ジョン、ポール、ジョージの3人のうまさは際立っています。

CSNの優れたコーラスワーク

CSN 左からグラハム・ナッシュ、デヴィッド・クロスビー、スティーブン・スティルス

1960年代で、ビートルズに比肩しうるコーラスワークのグループといえば、Crosby, Stills, NashことCSNでしょう。元バーズのディヴィッド・クロスビー、元バッファロー・スプリングフィールドのスティーブン・スティルス、元ホリーズのグラハム・ナッシュという、1968年に豪華なメンバーが集まってできたグループです。

ところが、このメンバー構成の凄いところは、全員がギター弾いてて作曲できるし、ボーカルがうまいというところです。対照的に、ベースやドラマーはメンバーの中にいないという(笑)。

特に、ディヴィッド・クロスビーと、グラハム・ナッシュのハイトーンは美しく、コーラスワークとして最上のグループでした。

そして、スティーヴン・スティルスのバッファロー・スプリングフィールド時代の相棒、ニール・ヤングが参加し、CSN&Yとなります。1970年に発表されたアルバム”Deja Vu”は世界的なヒットとなります。結局ニール・ヤングは1年ほどで脱退しますが、デジャ・ヴは名盤として今も語り継がれています。


このアルバムでは、4人がそれぞれ2曲づつ作曲し、作曲者がそれぞれの曲でメインボーカルをするという試みがなされていました。それ以外の10曲中2曲は、共作と友人の曲です。

5曲目のスティーブン・スティルスがメイン・ボーカルのウッドストックは、ジョニ・ミッチェルが、10曲目のエブリバディ・アイ・ラブ・ユーは、スティーブンとニール・ヤングの共作です。

作曲者がメインボーカルというのは、ビートルズでもお馴染みのシステムですが、海外のバンドではよくあることでして、一番重要なのが作曲であるということの表れだと思います。

THE BANDのリチャード・マニュエル

The Bandのリチャード・マニュエル

ファルセットによる優れたボーカリストといえば、The Bandのリチャード・マニュエルです。ザ・バンドは以前のブログにも紹介しています。ザ・バンドは、元はボブ・ディランのバックバンドで苦楽を共にした仲です。1968年、ファーストアルバム”Music from Big Pink”でデビューします。

ザ・バンドは、ピアノのリチャード・マニュエルが高音域、ベースのリック・ダンゴが中音域、ドラムのリヴォン・ヘルムが低音域と、それぞれ得意な音域の棲み分けがはっきりしています

また、それぞれが得意な音域でメイン・ボーカルを務めていて、自然にそのままコーラスできるという強みがありました。ギターのロビー・ロバートソンはボーカルが下手だったため、あまりボーカルやっていません。また、オルガンのガース・ハドソンもボーカルはやっていないです。

リチャード・マニュエルは、コーラスだけでなく、メインボーカルもファルセットで歌います。田舎の朴訥なにーちゃんって感じの声で、ファルセットへの切り替えが凄く自然で、やさしい曲が多いです。ロックボーカリストの中でもクセになるタイプの声質だと思います。

しかし、リチャード・マニュエルは、1970年代にアルコールとドラッグの過剰摂取のため体調を崩すようになり、かつてのようには演奏できなくなります。そして、ザ・バンドは1976年のラスト・ワルツコンサート後に解散します。

1982年にロビー・ロバートソン抜きでザ・バンドは再結成します。再び、ツアーを開始しますが、リチャードは再びアルコールと薬にのめり込み、1986年に自殺しています。

リチャード・マニュエルのボーカルが聴けるアルバムとして、ミュージック・フロム・ビッグ・ピンクとセルフタイトルのザ・バンドをおすすめします。

筆者によるコーラスワークの解説動画です。

重要なのは、ハモるクセを付けることです。コーラスのうまいバンドの音源を聴きながら、ハモりを練習すると、それらしくなってきます。僕の場合は、英語の発音の練習にもなり、一石二鳥の効果がありました。ちょっとしたスピードラーニングのような練習です(笑)。

今では、練習の甲斐あってファルセットのコーラスが得意になったのですが、何事も習うより慣れですね。

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