GHOST IN THE SHELL レビュー

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月曜日に、【GHOST IN THE SHELL】を観に行きました。場所はMOVIX八尾です。この映画は、士郎正宗原作の漫画、「攻殻機動隊」をベースにしたアニメ映画【GHOST IN THE SHELL】の実写化です。

GHOST IN THE SHELL 日本のアニメの実写化

アニメ【GHOST IN THE SHELL】の監督は押井守「機動警察パトレイバー」などの監督として有名でした。1995年に公開されたこの映画は、瞬く間に世界中を席巻しました。

サイバーパンク要素に加え、義体化、電脳化という設定の明確化、ネット社会に内在している構造的脆さと可能性、過去のSFにあった要素に加えて、これからの社会で起こりうる未来を提示した作品でした。

この作品に感銘を受けたウォシャウスキー兄弟が、「マトリックス」を制作したのは有名な話です。「攻殻機動隊」はその後、テレビシリーズや、続編映画として展開していきました。

GHOST IN THE SHELLの不安要素

出典 http://ghostshell.jp/ アイキャッチ画像も公式ページから

【GHOST IN THE SHELL】のハリウッド実写化が決まり、多少の不安がありました。漫画やアニメを実写化すると、映像の固定的イメージが阻害して、作品を素直に楽しめなくなるという問題があります。

特に、【GHOST IN THE SHELL】では、舞台が日本、それも公安9課の面々には日本人が大半を占めています。バトーや、ボーマはともかく、少佐(草薙素子)やトグサ、斉藤はどうするのかと。

キャストが公表されたとき、不安は的中しました。主演はスカーレット・ヨハンソン、少佐役が日本人ではなかったのです。しかし、今のハリウッドに少佐役に適した女優がいるのだろうか?という疑問があったのも事実です。

そこで、僕なりに考えた結果、この選考しかなかったのではないかと結論しました。このあたりの経緯については、festyにskydogとして投稿した記事に詳述しています。

【GHOST IN THE SHELL】感想

 

4月10日月曜日の昼頃、MOVIX八尾にて、【GHOST IN THE SHELL】を観賞しました。月曜日の昼ということもあり、客は十数人といったところでした。

※ここからはネタバレ含みます。観賞前の人は気をつけてください。

冒頭はイノセンスオマージュの、義体の製造過程から入ります。最初から川井憲次の曲のような感じがしましたが、パンフレットによると残念ながら音楽は、クリント・マンセルという作曲家のようです。

そこから、少佐の義体に脳がセットされ、少佐の名前が「ミラ」とされています。そこは草薙素子だろ!と内心強くツッコミましたが、後で後悔します。(理由は後述します)

ここで初めて、公安9課としてのミッションの場面になるのですが、舞台となった都市は、「ブレードランナー」のような、西洋とも東洋ともとれるデザインでした。ロケは、香港やアメリカ、ニュージーランド(だったような?)などで行われたようです。日本でやれない理由は色々ありそうです(涙)。

有名なビルから飛び降りるシーンは、ここでやります。厳密には最後に回されたシーンもあるのですが、ここは押井版を参考に作られています。

芸者のようなコンパニオンロボットは、よく出来ていました。アニメにはおなじみのロボットですが、CGにすると奇妙な感じです。再現度の高かったシーンの一つが、少佐が窓ガラスからビル内に侵入し、敵を銃で撃つシーンです。

戦闘シーンの大半は、アニメ映画版をきちんと踏襲しています。この作品の原型は間違いなく押井版GHOST IN THE SHELLです。ただ、ここでハンカ・ロボティックスという会社が出てきますが、原作には無かった要素です。(押井版ではメガテク・ボディ社というメーカーが登場)

ハンカ・ロボティクッス社カッター長官は、ビートたけし演じる荒巻課長と会談できる大物のようです。テロリストとして指定されている、人形使いのような存在であるクゼ(2ndGIGの最大の敵役)がハンカ・ロボティックスのデータを芸者ロボを使って奪います。

少佐は残された芸者ロボをハックしてクゼの痕跡をたどります。そこで罠にひっかかり、バトーは目を失い、その部分を義体化します。ここで初めてバトーがアニメの容姿になります。

クゼは、少佐の生みの親であるオウレイ博士を拉致しようとします。ここで、押井版のハイライトである、消えた少佐の体と襲撃犯との格闘シーンです。ここもバッチリ再現されていました!

その後、捕らえた犯人からクゼの居場所を特定、少佐はクゼからハンカ・ロボティックス社によって偽の記憶を植えつけられたことを知ります。少佐はクゼを逃がし、生みの親であるオウレイ博士から真相を問い質します。


少佐はその後、頭の中を整理するためスキューバダイビングをします。アニメ映画版にもこのシーンはあったように思います。

岸に着くと、ハンカ・ロボティックス社の戦闘員が取り囲んでいました。少佐は連行され、クゼと同じく廃棄処分されそうになります。オウレイ博士の機転により、過去の記憶を取り戻した少佐は、バイク(ホンダ NM-4)で脱出します。

※この近未来的なバイクNM-4は実際にホンダが市販しているバイクです。この映画のためにホンダが改造し、スカーレット・ヨハンソンに使われています。ちなみに僕が乗っているNC750Sと同型のエンジンを搭載した兄弟車でもあります。以前のブログに記事を書いています。

ここで、公安9課にカッター長官は、少佐の廃棄を依頼します。しかし、荒巻課長は断固拒否します。「少佐を失えば9課は終わりだ」との名台詞はどこかで聞いたことあります。(記憶違いならすみません)

これで、ハンカ・ロボティックスと公安9課の全面戦争に突入します。9課の面子は、トグサ、サイトー、ボーマは確認できました。トグサは、シンガポールの俳優さんが、ボーマは黒人(アニメでは白人)の俳優でした。後、実写版オリジナルの女のメンバーが加わっていました。イシカワ、パズについては、今回印象が薄かったです。

記憶を取り戻した少佐は、かつての自分の家に向かいます。少佐は、母親(桃井かおり)に会います。そこで自分の名前が素子であったことを思い出します。

ここが一番改変された部分です。原作にもアニメにも草薙素子の母は出てきません。エンディング部分に至る存在として、母親を出してきたのでしょう。(ここは後述します)

この後、荒巻課長にハンカ・ロボティックス社からのヒットマンが差し向けられますが、課長は難なく撃退します。「狐を狩るのに犬を差し向ける奴がいるか!(うろ覚え)」とぶち切れてました。原作と違ってマッチョなたけし課長がカッコ良かったです!

少佐こと素子は、かつて自分が所属していたコミュニティに向かいます。そこでクゼと再会し、恋人同士であったことを確認します。2ndGIGでは、クゼとは幼い頃に会ったことがあり、鶴を折る癖はそのときのものだったのですが、恋人同士ではありません。

おそらく人形使いとしての側面をクゼに与えているのでしょう。アニメ映画では、少佐は人形使いと融合し、幼女の義体でネットの海に生きる宣言をして失踪します。

そこに、カッター長官が遠隔操作する多脚戦車が、攻撃します。少佐は激しい戦闘の末、戦車を撃破しますが、義体は大きく損傷します。ここもアニメ映画をしっかり再現していました。左腕が引きちぎれるシーンも同じで、アニメへのリスペクトを感じました。

クゼは、ハンカ・ロボティックス社のヘリの狙撃により殺されます。その直前、少佐に共に来ることを望みますが、少佐はこの世界で生きることを選択します。アニメ映画と間逆の選択となった理由は、桃井かおり演じる母親の存在が大きかったからでしょう。なぜ、このような改変が行われたのかは謎ですが、おそらく少佐の心理面について考慮した結果だと思います。

少佐を狙撃する直前にサイトーが渋くヘリを狙撃します。さすがはスナイパー、見せ場があって良かったです。このあたりはテレビシリーズの要素が入っている部分です。

荒巻課長がカッター長官を射殺してケリをつけます。どこまでもおいしいところを持っていく、荒巻課長がカッコ良かったです!

そして、草薙素子と書かれた自分の墓で、母親に「もう(墓に)来なくていい」(自分は生きているのでまた会いにくる)といいます。その後、新しい作戦で、ビルから再び飛び降り、光学迷彩を発動させるシーンが!

そしてエンドロールで、イノセンスの曲がかかって終わります。あっという間の106分でした。

主に、押井版をベースにしながら、テレビシリーズを組み合わせて作った脚本でした。監督はルパート・サンダース「スノー・ホワイト」が代表作です。

見事に原作をリスペクトした作品だったと思います。スカーレット・ヨハンソンの少佐役もばっちりハマっていました!攻殻ファンの僕も納得の出来でした。邦画の某映画のように、やってはならない改変はありませんでした。

日本人キャストが、課長と母親とサイトーだけでしたが、ハリウッド作品なのでこれが限界だったのでしょう。日本人俳優でもハリウッドに出演するようになってきたら、もっとキャスティングされていたと思います。

おそらく、今の邦画界ではこれに匹敵する作品は作られなかったでしょう。それだけ完成度の高い映画でした。漫画、アニメのファンにもおすすめします。

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