アンプの特徴について:その1 アンプの歴史

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前に、エレキギターの特性について紹介しましたが、今回はトーンを左右するギターアンプに関する記事です。トーンや歪みは、アンプによるものも大きいです。一般には、ギター6に対してアンプ4と言われています。

優れたアンプがあってこそのロックンロール!

出典 https://www.soundhouse.co.jp/ フェンダー チャンプの復刻版

このブログを書いているtkd69ことタケダロックです。前にフェンダーとギブソンのギターの特性について紹介したので、今回はアンプに関する記事です。エレキギターは、アンプにギターシールドを差し込まない(プラグインしない)と大きい音は鳴りません。

ギターのトーンに関する割合は、ギター6、アンプ4、人によってはその逆の比率となります。ロックの歴史は、アンプの発展と共にあったと言っても過言ではありません。有名なのが、フェンダー、マーシャル、VOX、メサ・ブギーなどです。

ソリッドギターが販売された1950年代当初は、オーディオアンプに毛の生えたような回路のアンプで、レコーディングされていたようです。ブルースマンなどが愛用していたのが、MASCOのPA用アンプだったりします。

レオ・フェンダーが、ギターアンプを開発したのが1946年のことで、プリンストン、モデル26、プロフェッショナルなどのアンプを少量生産しました。まだ当時の音楽シーンには、フェンダーは普及していなかったので、PA用のものが主流だったということです。

出典 https://www.soundhouse.co.jp/ フェンダー ベースマン こちらも復刻版

1952年から60年まで、フェンダーはツィード調の外観のアンプを開発していきます。小型のチャンプや、元はベース用のアンプでギタリストが使用することが多かったベースマンなどの名器が出てきていたのです。

ロックとギターアンプ

出典 https://www.digimart.net VOX AC30 スーパーツイン

1950年代後半からアメリカでロックンロールが生み出され、ギターアンプの需要も徐々に増えていきました。1953年には、フェンダーツインアンプを開発し、1958年にVOXがAC1/15を開発します。

ブリティッシュ・インヴェイジョン世代のギタリストは、VOXを使用しているイメージがありますが、これはビートルズのジョン・レノンやジョージ・ハリスンの影響が大きいです。

イギリスにはVOX社、アメリカにはフェンダー社がありました。有名なVOX AC30は1960年に発表され、フェンダー ツインリバーブは1963年に販売開始されました。

マーシャルの登場とオーバードライブ

出典 http://www.marshallamps.jp/ マーシャル 1962 ブルースブレイカーズ・コンボ

1960年にイギリスでドラム教室をやっていたジム・マーシャルが、マーシャル・ショップを開業し、多くのミュージシャンが集まるようになりました。ジム・マーシャルは、多くのミュージシャンの要望に答えるつもりでアンプを製作します。1962年に、フェンダー・ベースマンを元に開発されたのがマーシャル・アンプであるJTM45です。

1965年に、ザ・フーのギタリストピート・タウンゼントの要望により、100Wヘッドに12インチスピーカー8発の1959アンプを開発します。このスピーカーは、とても重く12インチ×4に改められ、2段積みされるようになりました。俗にいうマーシャルのスタックの始まりです

マーシャルのアンプは、フェンダーやVOXと比較して歪みやすいので、出力が大きくて歪みやすいハムPUのギブソン系ギターとは相性が悪いとされていました。

しかし、エリック・クラプトンが、レスポール・モデルとマーシャルのコンボアンプ1962を組み合わせて「ウーマントーン」を披露すると、程良くオーバードライブされたトーンが流行していきます。なお、1962は当時クラプトンが在籍していたバンド名からブルースブレイカーズ・コンボと呼ばれています。

そして、ジミ・ヘンドリックスが、マーシャルのスタックアンプに、フェンダーのストラトキャスターと、当時開発されたばかりのファズフェイズを組み合わせたトーンで一世を風靡します。マーシャルのスタックアンプは、このようにしてロックの代名詞のような地位を築いたのです。

マスターボリュームの発明とJCM800

出典 http://www.marshallamps.jp/ 名器と呼ばれたJCM800のヘッド

エレキギターは、インピーダンスの高い(ハイインピーダンス)電子楽器です。エレキギターをアンプにプラグインさせて、ボリュームを上げると、音の波形のピークがクリッピング(切り取られ)します。この状態になると波形が潰れ音が歪むので、オーバードライブもしくはディストーションと呼ばれています。

初期のロックにおいて、オーバードライブさせるためには、ボリュームを上げる必要がありました。出力の高いハムバッキングPUでは歪みやすく、シングルコイルPUは歪みにくいので、ロジャー・メイヤーの開発したファズ(歪みエフェクター)が必要でした。

マーシャル メジャー

1970年代にハードロックを牽引したバンド、ディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアは、マーシャルの200Wのアンプ1967(Major)を使用していました。2つのインプットを直列に繋ぎ、片方のボリュームを、マスターボリュームとして使用することで歪みを得ていました。

ボリューム回路を挟むことで、歪みの量を調整する方法があります。これは、ボリュームに加えてマスターヴォリュームを付け加えることで得られます。


マーシャルは、マスターボリュームを搭載したモデルMVを発表します。これにより、アンプ単体で容易に歪みをコントロールできるようになったのです。そして、1981年には、マスターボリュームを本格的に導入したJCM800シリーズが生産開始され、マーシャルのスタックアンプの人気は絶頂を極めることになるのです。

ローランド・ジャズコーラスとメサ・ブギー

出典 https://www.roland.com/jp/ ローランド ジャズコーラス

チューブ(真空管)アンプが、大型化していき、よりヘヴィなサウンドを追求していた1970年代に、トランジスタアンプでクリーントーンを売りにしたギターアンプが開発されました。

日本のメーカーローランドが1975年に販売開始したのが、ジャズコーラス JC-120です。開発コンセプトは、フェンダーのツインリバーブのようなクリーントーンを出せるアンプということでした。2つのスピーカーを使ったコーラスやリバーブを標準搭載しています。

ジャズコーラスは、壊れにくく12インチスピーカー2発のコンボアンプとしては持ち運びしやすい28kgという重量により、人気のアンプとなりました。エフェクターで音作りをするミュージシャンにも好評で、今でも大きな仕様変更することなくスタジオやライブハウスに常備されています。

筆者が使っていたメサ・ブギー S.O.B.

1960年代後半に、カリフォルニアのランドール・スミスがフェンダーのプリンストンアンプを12Wから大型化し、大掛かりな改造を施しました。従来のボリュームでゲインを調整し、マスターボリュームを増設しボリュームをコントロールする手法を確立したのです。

そして、サンタナのギタリストであるカルロス・サンタナがそのサウンドを「なんてブギーしているんだ!」といったことから、メサ/ブギー社と命名されました。メサ・ブギーは当初、フェンダーアンプの改造を主に取り扱うメーカーでしたが、1972年に最初のメサ・ブギー MK-Ⅰを開発しました。

1979年には、リードとリズムの2チャンネルを切り替えられるMK-Ⅱを発表し、アンプの多チャンネル時代の先鞭をつけることとなったのです。80年代後期には、ハードロックやメタルのギタリストが、こぞって使用したデュアル・レクチファイアシリーズを発表しました。

現代でも残る名器の数々

マーシャル Plexi

ここまで、アンプの歴史を解説してみました。1940年代から80年代後半にかけて進化していったギターアンプでした。1990年代からデジタルアンプや、マルチエフェクターが登場し、飛躍的な進化を遂げていくことになりますが、アナログのアンプにしかない魅力があります。

真空管のアンプには、それぞれ個性があります。ローランドのジャズコーラスは、考えようによれば突出した個性のアンプといってもいいでしょう。ギターとの組み合わせや弾き手によるトーンは変わりますが、アナログアンプには明確な特徴がそれぞれあります。

デジタルアンプやマルチエフェクターは、色々な音が出すぎて逆に個性を感じないのです。ぶっちゃけ、最新のモデルが一番いいわけで初期のPODやBOSS GT-5なんかは今では激安価格で売られていたりします。

対照的にビンテージアンプのフェンダー・ベースマンや、ブルースブレイカーズ・コンボなどは、高値で取引されています。これは、デジタル全盛の時代でもアナログ回路のアンプにしか出せないトーンが存在しているからに他なりません。

また、デジタル機材のトーンは、名器と呼ばれたアンプをベースにしていることが多いです。本物の機材を使った経験があるとデジタルのプリアンプのセッティングの基準にもなります。

人によっていいトーンはそれぞれありますが、オールチューブのアンプにしかない魅力が確かにあります。次回は、実際のアンプの個性について紹介したいと思います。

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