Rock名盤解説File22:RADIOHEAD the bends

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今回のRock名盤解説は、1995年に発表されたRADIOHEADのセカンドアルバム、“the bends”です。レディオヘッドは、前作“Pablo Honey”のシングル”Creep”で得た人気をザ・ベンズで不動のものとしました。オルタナティヴロック期のレディオヘッドの中で筆者が最も好きなアルバムです。

オルタナティヴロック期の傑作アルバム

2007~2008頃のレディオヘッドのライブ映像

RADIOHEADは、1993年発表のファーストアルバム、パブロ・ハニーのシングル曲クリープの成功によって一躍当時のイギリスの人気バンドとなりました。クリープは、放送禁止用語が含まれていたため、シングルカットの時に一部歌詞が差し替えられました。

この曲は、当初のイギリスのチャートでは75位とふるわなかったのですが(放送禁止用語のためラジオであまりかからなかった)、イスラエルでヒットし、続いてアメリカでもヒット、そして最後に本国イギリスで逆輸入的な形で大ヒットしたのです。

1995年に発表されたセカンドアルバム、“the bends”はレディオヘッドが人気を確定した傑作アルバムです。当時のイギリスのシーンは、オアシスやブラー、クーラシェイカーといった強力なライバルがいました。

そういった中で、ネガティブともとれるレディオヘッドの曲がイギリスで人気となった背景には、クリープの後のザ・ベンズ、“OK Computer”でのギターロックバンド期のアルバムの質の高さにあります。

レディオヘッドは、2000年発表のアルバム、“KID A”からエレクトロニカを積極的に取り入れて、従来のバンドサウンドから脱却し、ロックバンドの定義に当てはまらないようになりました

ザ・ベンズは、ボーカル・ギターのトム・ヨーク、ギターのジョニー・グリーンウッド、同じくギターのエド・オブライエン、ベースのコリン・グリーンウッド、ドラムのフィル・セルウェイというオーソドックスな編成のときに作られたアルバムで、オルタナティヴ・ロックの名盤の一つです。

The Bends解説

ザ・ベンスのジャケット

有名なジャケットですが、このカバーはトム・ヨークが借りてきた救命訓練用の人形の写真です。bendsとはダイバーのかかる病気のことで、正確には減圧症といいます。ジャケットのアートワークは、スタンリー・ドンウッドが手がけています。

ザ・ベンズの録音は、1994年8月~11月にかけて、オックスフォードのスタジオ、マーナースタジオとロンドンのアビー・ロード・スタジオで行われました。

レディオヘッドのボーカル・ギターのトム・ヨーク (2007~2008年頃)

1曲目の“Planet Telex”は、歌詞をさらっと聴くとネガティブな曲なのですが、曲調は暗くありません。そこで、よく歌詞の意味を考えてみると、”Everything is broken”すなわち「全てのものは壊れている」という訳ができます。既成概念に対する強烈なアンチテーゼともとらえられるので、ある意味前向きな曲ともいえます。

“Killer Cars”(シングルのB面曲)のドラムトラックをそのまま使っています。ギターのアレンジは、エレキを全面的に使った初期のレディオヘッドらしい曲ともいえます。

2曲目の“The Bends”は、ファーストアルバム、パブロ・ハニーの全米ツアー中に書かれた曲です。エド・オブライエンが、アルバムのタイトルロールであるこの曲を演奏するときにノリノリでギターを弾いています。

ディストーションで歪ませたギターは、ノリの良さと勢いを曲にもたらしています。2曲目に強烈なロックチューンともいえるザ・ベンズを持ってくるところは流石です。しかし、よく聴くと歌詞は相変わらずネガティブです(大汗)。

ギタリストのエド・オブライエン

3曲目の“High and Dry”は、ほぼ3つのコードで構成されています。Em-G-Dの繰り返しで弾けるので、初心者におすすめできる曲です。実は、クリープもG-B-C-Cmのコードだけで弾けてしまうので、コード進行を複雑にしなくてもいい曲が書けるという典型的な例だと思います。

ハイ・アンド・ドライも1曲目のプラネット・テレックス同様にシングルカットされています。この曲は、トム・ヨークがエクセター大学に在学していた頃に書いた曲です。この頃からネガティブ全開で、トムの歌詞らしい暗さが漂っています。

メロディラインはたいへん美しく、初期の傑作曲の一つだと思います。プロデューサーの、ジョン・レッキーがレディオヘッドが1993年に録音したテープからこの曲を掘り起こし、ザ・ベンズのレコーディング中に新たにレコーディングされた経緯があります。

ジョン・レッキーは、ザ・ストーン・ローゼスのファーストアルバムのプロデューサーとして有名です。このときにアシスタントとして帯同していたナイジェル・ゴッドリッチと組んで、次回作OK コンピューターをレディオヘッドは共同プロデュースすることとなるのです。


4曲目の”Fake Plastic Trees“はアコギ曲のバラードです。曲はとても美しく、ちょっと聴いただけだと恋愛について歌った普通のバラードのように聴こえます。しかし、この曲は東ロンドンにあるカナリー・ワーフ地域のことを書いた曲です。

カナリー・ワーフ地域は、金融街として発展するものの、1990年代には衰退した市場のあおりを受けて、没落しました。フェイク・プラスチック・ツリーとは、まがい物のプラスチックの木という意味で消費社会を痛烈に皮肉っています。

レディオヘッドの歌詞は全てトム・ヨークが書いていますが、曲のクレジットは、メンバー全員の名前が書いてあります。きわめて民主的なバンドだと思います。ベーシストのコリン・グリーンウッドは、ギタリストのジョニー・グリーンウッドの兄です。

ベースのコリン・グリーンウッド

Bones“は、ノリのいいロックナンバーでジョニー・グリーンウッド主導の曲です。続く、”(Nice Dream)“では、再びアコギのバラードで抑揚をつけ、7曲目の”Just“では、ジョニーが中心で作られたロックナンバーに入ります。ジャストでのジョニーのギターソロは、ブルース色のないギターソロとして出色の出来です。

レディオヘッドに限らず、同時期のアメリカのバンド、ニルヴァーナも、ブルース色の少ないバンドです。新しい音楽を指向していくということは、ロックの源流であるブルースからの脱却が必要だったのかもしれません。

ギターのジョニー・グリーンウッド

8曲目の”My Iron Lung“は、Aメロでは静かなギターリフ、Bメロでは歪ませたギターによる激しいギターで抑揚をつけています。この曲は、先行販売されたEPのマイ・アイアン・ラングのタイトル曲でもあります。

Bullet Proof..I Wish I Was“は、静かなアコギ中心のバラードナンバーです。続く、”Black Star“はDrugstoreというイギリスのバンドがカバーしてグラストンベリーでも演奏していました。

幾分ポップで聴きやすい曲ですので、女性ボーカルのバンド、ドラッグストアのバージョンもなかなかでした。余談ですが、僕は当時のグラストンベリーの映像でブラック・スターは、ドラッグストアの曲だと勘違いしていました(大汗)。

レディオヘッドのドラマー、フィル・セルウェイは優れたドラマーです。レディオヘッドは、変拍子の曲も多いのですが、苦もなく叩いています。またレディオヘッドでも、バックボーカルを担当したり、意外とギターも弾けます。

ドラマーのフィル・セルウェイ

11曲目の”Sulk“は、徐々に盛り上がっていくナンバーです。そして、12曲目の“Street Spirit (Fade Out)”は、5曲目のシングルカット曲です。無常観漂う歌詞と物悲しく響くギターがストリート・スピリットにぴったりです。

48分30秒のアルバムはこれで幕を閉じることになります。邦盤だけ、ボーナストラックがあり、その内の1曲、”Killer Cars“がノリのいいロックナンバーで気に入っています。

トム・ヨークは、クルマで交通事故にあったトラウマがあり、キラー・カーズとは直訳すると人殺しの車のことです。曲は、こんなにノリがいいのにネガティブな歌詞との対比の面白い曲です。

ジョニー・グリーンウッドの機材について

ジョニー・グリーンウッドのテレキャスター

ジョニー・グリーンウッドの愛器といえば、アタックNo1のデカールの貼られているテレキャスタープラスが有名です。レースセンサーピックアップとリアのハムバッキング化でサウンドはファットなものとなっています。おそらく90年代くらいのモデルで、カラーはブラウンサンバースト、6WAYテイルピース仕様です。

ジョニーは、ボリュームノブと、トーンノブの間にあるコイルタップ用スイッチ(ハムからシングルに切り替えるためのもの)を押すと音が途切れるキルスイッチに改造しています。2006年以降は、ホンダのウィングマークのステッカーも貼られています。

サブにメインのテレキャスと同じモディファイのアメリカンスタンダードのテレキャスターも使用しています。こちらには宇宙エースのステッカーが貼られています。テレキャスを使い続けている理由は軽いから!だそうです(大汗)。

アンプは、VOX AC30とフェンダーのアンプを複数、エフェクターはプロコのRATやBOSS SD-1、OD-3他複数といったところです。ジョニーも変態的テレキャス名人の1人だと思います(笑)。

ザ・ベンズは、ネガティブでありながら知的な雰囲気のあるアルバムでした。オアシスやブラーとも異なるアプローチは、レディオヘッド独自の世界観を構築しています。そして、レディオヘッドは次のOK コンピューターで全英1位となるのです。

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