The Verve Urban Hymns:90年代ブリティッシュロックの傑作!

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1990年代のブリットポップの名盤といえば、The Verveの”Urban Hymns”を挙げる人が多いです。ザ・ヴァーヴはオアシス、ブラー、クーラ・シェイカー並ぶ90年代のロックバンドです。

ブリティッシュ・ロックの隆盛

1990年代は、バンドの熱い時代でした。イギリスのシーンは、60年代のロックの温故知新ともいうべきバンドがひしめき合い、切磋琢磨しながら音楽シーンをリードし続け、世界的なムーブメントとなっていたのです。

オアシスと、クーラ・シェイカーのファンだった筆者は、毎年アルバムを楽しみにしていました。そんな中、偶然手に取ったアルバムに衝撃を受けました。それが、ザ・ヴァーヴのアーバン・ヒムスだったのです。

ザ・ヴァーヴの軌跡

ザ・ヴァーヴは、1989年にイングランドでボーカルのリチャード・アシュクロフトと、ドラムのピーター・サリスベリーから始まり、後にギターのニック・マッケイブとベースのサイモン・ジョーンズが参加して結成されます。当時は、ヴァーヴと名乗っていました。

1993年に最初のアルバム”A Storm in Heaven“をリリースします。評論家には好評ながらも、セールスは伸び悩みます。1994年に、同じ名前のレコードレーベルからの訴えで、ザ・ヴァーヴと改名します。

1995年には、セカンドアルバム”A Northern Soul“を発表します。このアルバムを制作中にリチャード・アシュクロフトとニック・マッケイブとの間は、険悪になりバンドは一時解散します。

この頃仲の良かったオアシスのギャラガー兄弟が、モーニング・グローリーの9曲目の”Cast No Shadow“で、リチャードを励ましています。その後、バンドは新たなギタリストとして、サイモン・トングを招いてアルバムのレコーディングを開始します。

アルバムの制作途中で、ニックのギターが必要だと痛感し、リチャードはニックと和解します。これにより、5人体制で傑作アルバムを完成させるのです。

Urban Hymns解説

出典 https://www.amazon.co.jp/

1曲目の”Bitter Sweet Symphony“は、リチャードの書いた曲で、アーバン・ヒムスからの最初のシングルカット曲です。アルバムのオープニングにふさわしい曲です。

このビター・スウィート・シンフォニーのストリングスに、アンドリュー・オールダム・オーケストラがローリング・ストーンズのラスト・タイムをカバーしたものをサンプリングして使っていたために、訴えられました。

今では、ジャガー・リチャード・アシュクロフトとクレジットされていますが、ストリングスのパート以外は、間違いなくリチャード・アシュクロフトの書いた曲です。

2曲目の”Sonnet“はバラード曲で、このアルバムから最後にシングルカットされた曲です。アーバン・ヒムスは、メロディラインのいい曲が多いですが、ソネットはその中でも珠玉の出来です。

3曲目の”The Rolling People“は、ニックのギターが炸裂する曲で、クレジットはザ・ヴァーヴとなっています。サイケロック色の強いザ・ローリング・ピープルは、個人的にも気に入りのナンバーです。

4曲目の”The Drugs Don’t Work“は、リチャードの曲でシンプルなバラードナンバーです。ストリングスを多用しているので、ニック不在時に録られた曲です。ちなみに、このアルバムでピアノやキーボードを担当しているのは、セカンド・ギタリストのサイモン・トングです。ザ・ドラッグス・ドント・ワークは、2曲目のシングル曲でした。

再び5曲目の”Catching the Butterfly“でサイケロックに戻ります。ミドルテンポの空間系エフェクトを使った浮遊感たっぷりのキャッチング・ザ・バタフライは、ニックの多彩なギターテクニックの光る曲です。

6曲目の”Neon Wilderness“は、7曲目の”Space and Time“と繋ぐ曲です。ここからメロディアスなスペース・アンド・タイムに入ります。Weeping Willow“はこれぞヴァーヴ!といった曲で、メロディアスなワウギターに、リチャードのダルそうなボーカルがからむ名曲です。

そこから9曲目の”Lucky Man“に入り、立て続けに名曲が続きます。アコギから入ってくるメロディアスなナンバーです。このラッキー・マンもシングルカットされています。


10曲目の”One Day”は、爽やかな感じのする明るめの曲で続く”This Time”は、跳ねたリズムの曲です。12曲目の”Velvet Morning“からラストの”Come On“に移行します。ちなみに、このカム・オンではオアシスのノエル・ギャラガーがコーラスで参加しています。

13曲(日本盤では15曲)ハズレ無しの名盤です。空間系エフェクトの使い方が秀逸でした。ニックのメロディックなギターとリチャードの独特なビブラートの声はぴったりで、ベースのサイモンとドラムのピーターのリズム隊もいい仕事しています。サイドギタリストのサイモン・トングも多彩な楽器を演奏し、バンドに貢献しています。

間違いなくオアシスの『モーニング・グローリー』と並ぶ90年代ブリティッシュロックのベストアルバムだと思います。

ザ・ヴァーヴの解散と復活

出典 https://www.amazon.co.jp/

12週連続全英チャート1位となった1997年のサードアルバム、アーバン・ヒムスの成功で、ザ・ヴァーヴは名実ともにオアシス、ブラーに並ぶイギリスのトップグループとなりました。

しかし、翌年の1998年にニックが再び脱退し、1999年にバンドは解散してしまいます。その後、リチャードはソロ活動を続けます。

2007年にサイモン・トングを除く4人でザ・ヴァーヴを再結成させました。2008年には、通算4枚目となるアルバム”Forth“をリリースしています。このフォースも佳作といっていいほどの出来なので、ぜひ聴いてもらいたいアルバムです。

2009年に、ザ・ヴァーヴは解散し、その後アルバムはリリースされていません。ロックが元気だった最後の時期に活躍し、イギリスのみならず世界中に影響を与えたバンドが、ザ・ヴァーヴです。

1990年代のイギリスで、ニックのようにボーカルに被せるようなメロディアスなギターは、スウェードのギタリスト、バーナード・バトラーしか思い浮かびません。ザ・ヴァーヴのニックは、僕にとってギターヒーローの1人だったのです。

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